アニメーターを育てる講師が不足している理由を考えてみる

アニメーター講師の依頼が結構来てしまっている、イラストレーターのさらえみです。

仕事のご依頼が色々ある中で定期的に「講師やっていただけませんか?」とご相談が来ます。
大学や専門学校のアニメーター講師いなさすぎでは・・・?と思ったので、それに関する情報をまとめてみました。

講師依頼がすごく多い

昨年も学校関係者様にお会いする度に「講師やりません?」と言われました。

2018年入ってからも、京都・奈良・東京(!?)からお誘いいただきました。
こうやって多数お誘いいただき、アニメーターや会社員やってた頃からは想像つかない事態で本当にありがたいです。

が、定期講師・技術教える系講師は現在ほぼお断りしています。

私への講師依頼件数がまぁまぁ多くてそんなにアニメーター講師っていないの!?って思っていました。

現アニメーターが講師やらない背景

時間が無いから

アニメーター時代
アニメーター時代を描いたプロフィール漫画より

私の予測でしかないですが、10年以上前ですがTVアニメ作画してた現場を想像するとこれだよな~と思います。技術の進歩はめざましいですが、アニメ業界のほとんどはそんなに変わっていません。

24時間四六時中スタジオ缶詰状態で紙と鉛筆で戦いまくってる戦士が原画マン動画マンと言われるアニメーターです。

そんな状態で働いてる人が、別にお給料貰えるにしても講師やる時間やスタミナはなかなか取れません。

教えるより作るほうが好きな人が多い

クリエイターなんで、作る側でいたい人の方が多いです。

特に現場では、所属している若手に教えるほうが優先なので、さらに外でも学校で教えるとなると、やっぱり時間的に無理があります。

ただ、フリーランスになってから教えることで学べることも多いなと思うようになりました。
学生さんに教えることで「一般の方にはこういう所が不安になる点なんだな」と本業に活かせる部分も多かったです。

元アニメーターが見つからない背景

そもそもそんなに人数がいない

私がアニメーターやってた時代、半月~1ヶ月くらいで入社した人のうち半数減ってました。
半月~1ヶ月で「元アニメーター」はなかなか名乗れないですよね・・・目指す人は多いんですけど生き残る人は少ないという現実です。

どこに居るのかわからない


辞めた人の大半は一般職に就いてる印象があります。

元同僚の人の話では、派遣に入った~とか、全然関係無いバイトはじめた~とか言ってた人が多かったです。

私はアニメーターの後は映像開発系のCGデザイナーに転職したのですが、同じように辞めたアニメーターの知り合い十数名にはクリエイター職になった人っていなかったですし、就職先の20名ほどいたCGデザイナーの中でもアニメーター出身者は居ませんでした。

フリーランスになってからチラホラ「元アニメーターでした!」って言う方は見かけるようになりました。副業しつつイラストレーターになってる人はいらっしゃいます。

凄くご活躍されてる方にお会いしても「アニメーターの人にはじめてお会いしましたー!」って言われるほうがめちゃめちゃ多いです。
・・・講師で行った所でも他の先生に言われた気がする・・・

講座の分散と講師の取り合い

仕事でいろんな学校を見に行って「そんなにたくさんの授業あるの!?」って思いました。

私が実際通ってた専門学校は、毎日3時間程度で種類は「アニメーター技術と知識」と「デッサン」くらいなもんでした。
アニメーターに特化した学校やクラスは、こんな感じで内容集中してるはずです。

ところが、多様性の時代背景もあると思いますが「アニメーターになるかどうか迷ってる人が来る」大学や専門学校だと、「デッサン」「アニメーターの技術・知識」以外に「3D」「ゲーム系の技術・知識」「イラストレーター系の技術・知識」「マンガ系の技術・知識」「社会人マナー」と1人が受ける授業がめちゃめちゃ幅広い。

確かにどれも、やってみて自分の本当にやりたいことが見つかったり、共通してどのクリエイター職にも大事な要素があったりするので、生徒さん忙しいけど良い環境ではあるのかな?

1つの学校でこんなに授業の種類があれば、ただでさえ少ないアニメーターは講師不足も発生するよね・・・と思いました。

アニメーター目指す人に学ばせたほうが良いもの

実際に現場と生徒の温度感から必要そうな項目まとめてみました。

進路

行きたい就職先ベスト3くらいあげて方向性だけでも決めたほうが良いです。

同じTVアニメ制作でも、手描きアニメ・デジタル作画&彩色・エフェクトCGデザイナー・3Dアニメで必要な技術がだいぶ変わります。

迷ってつまみ食いしても良いけれど、最終的にやりたいもの向いてるものを決めて、それを磨く時間は必要です。
つまみ食いしたまま就職では、行けたとしても苦戦しそうだなと思います。

監督になるから描けなくていいや的な学生も居ましたが、個人的にはコンテで人に伝えるくらいは描けないとマズイのでは。と思いますよ。

デッサン

すべての基礎です。

プロになっても続けたほうが良いもの。
学校でやっててよかったものの1つです。

描き方を覚えるというより目を養うに近いです。
形・奥行き・バランス・サイズ感を鍛えてください。
アニメーターに限らず必要なものです。

線を引く練習

絵を描けない人は円を描くことも難しいそうです。

アニメーターの場合は、素早く正確に描く必要があるので、途切れず長い線を引けるようになるのも必要です。

CGで簡単にできると思うでしょう?
アニメ業界まだまだ紙と鉛筆で手作業の世界です。
CGでも人がペンを持って描く部分は大量にあります。
じゃないとアニメーターの仕事無くなりますよね(汗

A4用紙いっぱいの大きさの円、A4用紙いっぱいの縦線・横線を途切れずに描く。
飽きてくるならアニメ原画の長い髪の毛を途切れずに描く練習とかをやったほうが良いです。

あと、原画を正確にトレースする練習も。

楽しくトレースしました!じゃなくて、トレースしたものを原画と見比べて形や雰囲気が違っていないかを確認して下さい。
TVアニメで作画崩壊って言われているものの原因はこれの可能性も大きいのです。

物体の動きの基礎

ボールひとつ落とす、にしても堅いボール・餅のようなボール・スーパーボールで、跳ね返り方やボールの変形が違います。

早い・遅い・だんだん早い・跳ねる・溜めて動く・なびく・煙などの送り・・・を、描いたり見たり研究して覚えてください(無茶振り)

人間の動きの基礎

歩く・走る・振り向くが基本です。

アニメ作画系の本にも掲載されてるハズです。
アニメでよくある動作なので、これが出来ないと現場で苦しむハメになるかと・・・

まばたき・口パク・立つ座る・持つ・・・も習得できたらすぐ活躍できます。

アニメやマンガの歴史

ディズニーと手塚治虫どちらが先かとか、藤子不二雄はどっちだとか、マクロス作った人とか。

最近活躍するクリエイターはもちろん知るべきですが、礎を築いてきた方々の名前と作品くらいは知っておかないと現場での意思疎通にも関わるのでは・・・と思います。

アニメ制作の方法・道具

最初の進路で伝えた通り、職種によって必要な技術も道具も様々です。
作画アニメーターの門を叩くのに、動画用紙もタップも色鉛筆での指定も知らないのでは話になりません。

デジタル描画基礎(おまけ)

私がアニメーター辞めて、CGデザイナーになれたのは趣味でパソコンで絵を描いてた事も大きいです。

CG系のアニメ会社を目指さないにしても、今の時代デジタル覚えていれば食いっぱぐれることはないです。

Photoshop・Illustrator・CLIP STUDIOで、レイヤーの概念やデータの扱い方など。

私が講師やった時は、隙き見て映像ソフトのAfter Effects操作方法を覚えさせてましたw
ソフト変わってもタイムラインやZ軸の概念わかると移行しやすいです。
何かあった時に役に立つ。需要あるからね!

上記の内容は、私がボチボチ運営している▼こちらのサイト▼に詳しく載せています。ご参考までに。

アニメーター経験アリで講師やりたい人は?

自分の持ってる知識で若者を育ててお給料いただけるのが嬉しい方もおられるかと思います。
元アニメーターの皆様、需要ありますよ!

発信してください!

インターネットで講師を探してる方は結構いらっしゃいます。

私の経験上、黙ってて見つけてもらえることは、ほぼありえません。

SNSでもブログでも良いので、元アニメーターであること、講師やりますよ!的なこと、持ってるアニメーター知識、を発信しまくるのです・・

講師やってる知人を作ってください!

学校から講師へ「知ってる人居たら紹介してください」パターン多いです。

突然来た良く知らない人に生徒は任せられません。

それよりも既に信頼できる講師からの紹介のほうが安心しますよね。そういうことです。

ちなみに、私が講師依頼をお断りしてる理由

毎週でも通勤がキツすぎる遠さ

ハイ、いつも出してる地図です。
大阪地図

元々フリーランスになろうと思ったきっかけの1つが距離です。

しかも、だいたい学校・・・特に大学はかーなーりー電車に乗らないと行けない所が多い。
授業やる時間より通勤時間のほうが長くなります・・・

「週1で良いから!」とも言われますが、週1~2は他の所から声がかかって成長や繋がり増やす活動のために予定入れてることが多いので、これにさらに週1入れたら仕事の時間なくなります*:.。☆

いくら引きこもりフリーランスでも外出ゼロではありません・・・お会いする頻度低くても結構ウロウロしていますw

私は独立する人に向けた支援をしたいから

専門学校講師の経験はありますが、現在「教える」という支援活動の対象は「独立・フリーランス」にと決めています。

これから技術を吸収していきたい!って人も多いでしょうけど「技術あるけど生活できないの!」っていう人も多い。

私もそうでした。
独立にあたって「もっと技術無いと無理なのか・・・」との思い込みから「あ、違う、私は技術以外を知らない!」って気づけたのが無茶苦茶大きかったです。

技術学ぶ場は、学校やネットはもちろん、もう現場入っちゃえば自ずと身につきます。

でも技術あるけどどうやって生活するの!?っていう部分を補える場は、義務教育で教えてほしいくらいなのに少ないよな~と感じています。

もっと詳しい理由はこちら。

単発の「講演」はたまに受けています

個人で仕事を獲得するための知恵は、独立・フリーランスに限らず会社やスタジオ所属になるクリエイターさんにも(すぐに役に立たないにしても)知ってもらったほうが良いと思っています。

なので現場の仕事感や仕事を獲得するための知恵を伝える単発講演はたまに引き受けています。

以上、クリエイターを続けたい元アニメーターさんが働く手段のひとつとして、ヒントになれば幸いです!ご武運を~!

クリエイター200人祭り2018