VTuberのモデルやイラスト制作もしているイラストレーターさらえみ(@saraemiii)です。
VTuberモデルの依頼は、通常のイラスト依頼よりも考えるポイントが多くなります。
決して安くはないですし、気に入ったモデルで楽しく活動するためにも、失敗は避けたいですよね。
当記事では初めての依頼でも迷いが少なくなるよう、『モデルを発注する時』に使えるメールの書き方や注意したいポイントを紹介していきます。
VTuberの “モデル制作”に必要な3要素
VTuberモデルには大きく分けて
① キャラクターデザイン
② Live2D用イラスト
③ Live2Dモデリング
以上の3つが必要になります。
これは『2Dイラスト』をVTuberにする場合で、3Dの場合は、3Dを作成してモデリングする必要があり、イラストとは違う技術になります。
1:あなただけのキャラクターを作る “キャラクターデザイン”
同じ絵を描く作業でも、『イラストを描く』のと『キャラクターを作る』のは、完全に別の作業になります。
すでに自社のキャラクターがありそれをVTuberにする場合には『キャラクターを作る』作業は大きく省けます。
ゼロからVTuberを作る場合には、どんな見た目にするかといった『キャラクターを作る』作業が必要になります。
VTuber用イラスト制作はキャラクターデザインもセットになっているケースが多いです。
私もキャラクターデザイン作業と、誰が見てもわかるキャラ設定『三面図』と、VTuber用イラスト制作をセットにしたメニューを用意しています。
2:通常のイラスト制作とは違う “Live2D用イラスト”
VTuberモデルに必要な『Live2D用イラスト』は、動かすためにパーツ分けをした特殊なイラストになります。
普段は髪に隠れて見えない耳や顔も、動いて首を傾けると見えるようになるため、隠れている部分も描く必要があります。
こういった見えない部分もたくさん描くため、VTuberとして動かすためのイラストは、通常のイラストよりも特殊な作業になります。
見た目以上に特殊なイラスト構成になるので、VTuberモデルイラストの実績があるところに依頼すると安心です。
3:イラストを動かすための技術 “Live2Dモデリング”
イラストを動かすための『モデリング』という作業が必要です。
専用のソフトLive2Dを使って、それぞれのパーツに骨組みや動き方を追加していくため、絵を描く作業とも全く違った技術になります。
“Live2Dモデラー”という専門クリエイターもいますし、モデリングができるイラストレーターも増えています。
私も標準的なモデリングはできるので、デザインから一括してお受けできます。
スケジュールが合わない時には、専門のモデラーさんにお任せする場合もありますが、モデラーさんのスムーズな作業のため、素早く修正対応するよう意識しています。
VTuberモデルを依頼発注する際に考えるポイント
キャラクターデザインから制作依頼する際、以下の内容を考えておくと進行しやすくなります。
- 等身
- サイズ
- 全身か上半身か
- 性別・性格・見た目に反映させるかどうか
- 身長・髪型・髪色・目の色・服装・身体的特徴
- モチーフ
- イメージカラー
- 活動予定内容
- 希望納期
- 追加発注するかどうか
- VTuberを動かす方法を理解しているかどうか
- そのクリエイターに依頼したい理由
① 等身
普通の人間のような高等身か、マスコットのような低等身か、決めておきましょう。
VTuber=高等身 のイメージが一般的には強いので、誤解されないためにも認識を擦り合わせておきます。
② サイズ
よくあるPC画面サイズのフルハイビジョン1920×1080pxに顔がアップになっても耐えられるサイズかつ、稼働用に動いても画質が荒れないサイズになっています。
③ 全身か上半身か
上半身だけで良いか、全身にするかで、作業量や料金も変わります。
ゲームメインだと上半身のみでも充分ですが、他にもコラボなどいろいろな活動もしたいなら全身持っておくといろんな使い方ができてオススメです。
ただ制作物量は “顔周辺が圧倒的に多い” ので、上半身のみにしたから半額とはいかないので注意しておきましょう。
④ 性別・性格・見た目に反映させるかどうか
性別や性格もキャラクターデザインに必要な要素です。
性格も見た目もかわいくするか、性格はかわいいけれど見た目はカッコよくギャップを持たせるのもアリです。
⑤ 身長・髪型・髪色・目の色・服装・身体的特徴
身長やファッションなど、外したくない見た目の特徴はしっかり伝えましょう。
他のVTuberさんやアニメキャラを参考にするのも良いですし、迷うようならパターンを出してもらうのも1つの手です。
想像していたものと、実際に形にしたものを見てみるのとでは、印象は随分変わります。
迷うなら、ラフでも良いので、実際に見てみて判断していきましょう。
見た目の指定には、参考画像をいくつか用意しておくと伝わりやすくなります。
Googleなどの検索ツールや、Pinterestを活用するのもオススメです。
参考画像をそのまま描くことは著作権違反に抵触します。
「そのまま描いて欲しい」という指定はせず、あくまで参考として雰囲気を伝えるものとして捉えておきましょう。
⑥ モチーフ
動物や☆柄ハート柄など、モチーフがあると、キャッチーでキャラクター性が強くなります。
⑦ イメージカラー
イメージカラーがあると、デザインに反映しやすく、印象に残りやすいのでオススメです。
同系色だと色の印象が濃く、まとまりやすくなります。
バラバラの色でも、3色にまとめると気持ち悪くならずにセンスの良い配色になります。
配色はキャラクター以外のデザインでも使われる手法です。
あまりにも奇抜でバラバラな色を多様すると、気持ち悪い見た目で見る人にストレスを与えかねません。
⑧ 活動予定内容
VTuberのよくある活動はゲーム実況や雑談やカラオケあたりだと思います。
他にも、企業のPR用、専門技術の解説系など、特殊な活動をしてるVTuberも多くいます。
例えばセンシティブ系や政治的な活動などになると、制作クリエイターさんによっては自分のブランドに合わない活動をされるVTuberのデザインは担当しないケースもあります。
VTuberとイラストレーターをはじめとするクリエイターは、モデル制作の時だけでなく以降の活動でも協力するシーンは多数あるため、信頼を落とすのは大きな損失になります。
最初から活動の範囲を伝えておき、大きく路線変更する際にも相談しておくとトラブルにならずに済むはずです。
⑨ 希望納期
公開したい時期が決まっているならしっかり伝えておきます。
VTuberの制作には、作業量によりますが2~6ヶ月みておくと良いです。
クリエイターさんによっては、当月や翌月はスケジュール埋まってることもあるので、余裕を持って確認しておきましょう。
コンスタントに仕事をしているクリエイターさんほど、直近の予定は埋まっているものです。
⑩ 追加発注するかどうか
別衣装や物を持たせるなど、モデル完成後に “将来的に追加発注をするかどうか”も、少し考えておいて良いと思います。
活動歴が短かったり安く対応しているクリエイターさんだと、1~2年後追加発注したいとなった時に廃業していることもあります。
私も過去にロゴデザインを依頼したデザイナーさんが、数年後連絡つかず活動終了していた経験があります💦
⑪ VTuberを動かす方法を理解しているかどうか
VTuberとして活動するには、完成したモデルを動かすノウハウを知っておかないといけません。
知らないままで発注すると『実際に動かしてみたら思ってたのと違った!』となってしまう可能性が高くなります。
発注前にトラッキングソフトを触ってみて、サンプルモデルを使ってVTuberを動かす感覚を体験しておくのをオススメします。
少しでも触ったことがあるのと無いのでは、大きく違ってくるので、ちょっとでも体験しておいて損はないです!
私は、初めてのご依頼でもスムーズに活動できるよう、モデル納品時に、初心者向けの導入マニュアルをお渡ししています。
⑫ そのクリエイターに依頼したい理由
依頼する際に
- 制作された素晴らしいモデルを拝見し
- 貴方の繊細な作風に惚れ込んで
- 実績を見て信頼できると思ったので
- 前からイラストが好きで頼みたいと思い
- 愛らしいキャラ造形に強く惹かれて
というような理由も添えられると、依頼された側はよりモチベーションがUPします。
イメージが固まっていない場合は?
上記の情報すべてが決まっていなくても大丈夫です。
完全にノープランでは困りますが『明るい女の子にしたい』『こんなキャラに近いイメージにしたい』『頼れるお姉さんキャラにしたい』という情報だけでも、それを取っ掛かりにキャラクターの見た目を固めていくこともできます。
あまりイメージがない場合、ラフを出しながらキャラクターデザインを固めていく作業が想定以上に多くなる可能性があります。
そのぶん料金がかかることもあるのを想定して、お伺いすると良いかと思います。
キャラクターデザインが被らないか心配
もうすでにVTuberだけでも幾千万も存在しています。
アニメやゲームキャラ等も含めると『デザインが被るのでは?』と心配になることもあります。
そんな時は以下のような回避策があります。
- オリジナルのモチーフを作って身につける
- 髪型や服装を目立つ特徴的な形にする
- 性格等の見た目以外の情報も反映してもらう
- 画像検索にかけて被っていないか確認する
コンセプトやキャラクターデザインするプロセスが違えば、デザインが完全に被ることはありえませんが、既存のキャラと似てしまうと炎上するリスクもあります。
対策していても被ってしまった場合は、取り下げてデザインを変更するか、大事になってしまった場合は大元の著作権者と相談する必要も出てきます。
著作権侵害した際には、それで得た利益や条件によっては数十万~の賠償金を支払わなければならなくなる場合があります。
このままコピペで使える発注メールテンプレート
以下は、VTuberモデル制作を依頼する際のメール文サンプルです。
ご自身の依頼内容や条件に合わせて編集してお使いください。
件名: VTuberモデル制作のご依頼について
[クリエイター名] 〇〇〇様
はじめまして。△△△と申します。
この度、VTuberとして活動を開始するにあたり、〇〇〇様の素晴らしいモデルイラスト及び制作スキルを拝見し、ぜひLive2DのVTuberモデル制作をお願いしたくご連絡差し上げました。
制作の要望と概要は以下の通りになります。
依頼内容: Live2Dモデル用キャラクターデザインおよびモデリング
キャラクター概要
・ ファンタジー風の少女、20代前半、明るく元気な性格
・全身
・赤髪のショートカットに大きめの黄色い花のアクセサリー
・ジャケットと動きやすいハーフパンツ
・控えめの胸
・黄色の瞳
・大きめの黄色い花がメインモチーフ
イメージ資料:(まとめた画像やPDFを入れたストレージのリンクアドレス)
希望する表情や動き: 笑顔、ウィンク、驚き、ゲームコントローラーを持った手
希望納期:2025年7月末まで 8月中旬頃に発表予定
予算:30万円前後で検討していますが、柔軟に相談可能です。
その他必要な情報があればお気軽にお申し付けください。
お忙しいところ恐れ入りますが、ご検討いただき、ご対応可能であればお見積もりや詳細についてご返信いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
[あなたの名前]△△△
[連絡先: メールアドレス]
[活動用SNSリンクやWEBサイトなど]
依頼発注するときの3つの注意点
依頼する時これらを抑えておかないと、受け付けてもらえなかったり思い違いが発生したりしてしまいます。
注意点1:挨拶など基本を抑えて信頼性を保つ
依頼される側は
- ちゃんと報酬を支払ってくれるだろうか
- 制作時にしっかり返信が来るかどうか
- 納品したモデルを丁寧に扱ってくれるか
といった部分を不安に思って見ています。
挨拶無く適当な文章で問い合わせを送られる方もいます。
こちらも人間なので、忙しいと丁寧なお客様を優先したくなります。
信頼性に欠けるように見える方は迷惑メール同様にスルーしてしまう場合もあります。
他にも、たとえば、
- VTuber出来る前から既に活動開始している
- 活動用WEBサイトやYouTube、SNSアドレス
- 1~2日以内にすぐ返答が来る
このような信頼できる要素があると、スムーズに進行しやすくなります。
注意点2:わからないところをきちんと聞いておく
VTuberモデル制作はイラスト以上に独特な技術なので、わからない部分があればしっかり制作者に聞くようにしましょう。
- どういったソフトを使って動かすのか
- 追加費が発生するのかどうか
- 表情やアイテムのON/OFF方法
- 髪や揺れ物の動き方のイメージ
- 作ったモデルはどこまで活用して良いか
などなど、触った事のない初心者さんにはわからないところも多いかと思います。
わからないままにせず、理解できた上で制作に進んでいくのが1番失敗しないコツになります。
さすがに必要なPCや周辺機器など細かいところまでは、クリエイター側で答えるのは厳しいかと思います。
なので、ある程度は自分で調べてから聞くととてもスムーズに進みます。
当サイトでも初心者向けにVTuberについて沢山解説しています。
注意点3:取引の履歴が残る形で連絡を取る
特にVTuberモデル制作は、完成まで数ヶ月かかることもあり通常のイラストよりも長期間になります。
長期間のうちに『あれはどうだったっけ?』『こういう条件でしたっけ?』とお互いあやふやになりやすいです。
企業でなくともフリーランス個人に対しても、取引条件を書面やメール等で残すように法律で定められました。※フリーランス新法
発注する際はしっかり準備をして理想のVTuberモデルを
自分だけのこだわりのVTuber制作には、以上のようなことに気をつけて準備をして発注すると、理想のモデルが完成するはずです。
他にも発注に役立つ情報を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。