軽いアニメやイラスト映像も作っているイラストレーターさらえみ(@saraemiii)です。
今回↓こちらで制作させていただいた、カバー楽曲のMVを元に制作工程の紹介をしていきます。

クライアントから許可いただけたので、Vコンテと途中経過の映像もお見せします。
実際に、具体的にどんな感じで作っていくのか、イメージしやすくなると思いますので、依頼や制作の参考にしてみてください。
VTuberの『歌ってみた』動画の特徴
VTuberは、オリジナルソングを制作して歌うこともありますが、今回のような有名曲をカバーすることもあります。
単なるカバーソングというよりも、MVごと楽しむ文化が根付いています。
- 元曲ファンも、歌い手VTuberファンも両方楽しめる“橋渡し”になる
- 曲名で検索されやすく、SNSやYouTubeで拡散されやすい
- 歌い手VTuberならではの解釈や世界観が加えられて新しい楽しみ方を生む
- 元のMVと並べて見られることで、コメントや感想が盛り上がりやすい
このようにカバー元の盛り上がりにも一役買っています。
『歌ってみた』は原曲ありきなので、なんでも歌ってOKというわけではありません。
以下のページでは、歌ってみたの著作権についても簡単に解説しています。

VTuberの『歌ってみた』MVは大まかに3種類ある
1:原曲MVをそのままオマージュした作品
カバー元の原曲MVがアニメーションの場合、歌い手のVTuberさんに差し替えてほぼそのままのアニメーションにしているMVはよく見られます。
- サムネイルやプレビューで「どの楽曲のカバーか」が一目で伝わりやすい
- 単なるコピーではなく、歌い手VTuberならではのアレンジ演出で違いを楽しめる
- 制作には原作の雰囲気に寄せて描けるクリエイターを見つける必要がある
といった特徴があります。
2:原曲MVを彷彿とさせる1枚絵を編集した作品
原曲MVがアニメでも実写でも、その印象を伝えられる1枚絵でMVを制作する場合もあります。
主に原曲MVのサムネイルをアレンジした1枚絵にしているケースが多いです。
- サムネイルで「どの楽曲のカバーか」が一目で伝わりやすい
- 絵の印象が強く「このVTuberのこのカバー曲」と覚えられやすい
- モーショングラフィックが得意なクリエイターが関わってると強い
といった特徴があります。

私はイラストメインなので、モーショングラフィックは少しできる程度ではありますが、今回も見飽きないように工夫して制作させていただきました。
3:完全オリジナルの映像作品
原曲を、歌い手VTuberの世界観や解釈でオリジナル映像に作り上げるMVもあります。
- 同楽曲の他の動画と差別化できて注目されやすい
- MVクリエイターとのコラボ感が強くカバーでありながら新作感を味わえる
- 原曲MVに頼らず作るため、制作時の打ち合わせが多くなりやすい
といった特徴があります。



今回は上記の「2」と、この「3」の間を取ったような制作になりました。原曲が実写MVなのでそのままにはせず、VTuberさんのイメージとかけ合わせて作品に仕上げました。
制作工程① 制作の条件や方向性を確認
まずご依頼をいただきましたら、お互い制作の条件を擦り合わせて問題なければ、契約後に制作着手となります。
制作の方向性は以下のようなことを確認していきます。
- ポップ・かわいい・クール等のテイスト
- 使用する衣装・アイテム・テクスチャ
- 1枚絵だけで構成するか、他の表現も使うか
- カバーソングの場合、どこまで本家に寄せるか
依頼によって、どこまでこちらにおまかせするかどうかの自由度も変わってきます。
映像内でやりたい事があれば最初のうちに共有してもらうのがベストです。
が、『こちらにおまかせ』の場合でも、VTuberさんの世界観と合うかどうかを工程ごとにチェックしていただくようにしています。
カバー音源はこの段階でいただき、コンテやVコンテ制作に移っていきます。
制作工程② コンセプトを元にVコンテを制作
1枚絵なので、コンテよりもVコンテにしてしまったほうがイメージを共有しやすいと考え、コンテは作らず、1枚絵のラフを先に確認してもらってからVコンテを作成しています。



Vコンテのほうがクライアント様も完成のイメージが持ちやすいですし、制作側の私もどこまで何が必要なのかが把握しやすいです。
Vコンテでは、歌詞も入れて、大まかな構成やタイミングがわかるように作っています。
今回、かなり自由にやらせてもらっていたので、メインイラスト以外にも入れたほうがインパクト出ると思って、大ラフの正面イラストも足しています。
クライアントVTuberの『みねこちゃん』の可愛らしさをベースに、衣装は数ある中から楽曲イメージに合う天使の印象強い物を選びました。1枚イラストを加工することは最初から決まっていたので、どんなシーンでも見栄えするようなポーズにしています。
クライアントに確認してもらって問題なければ、このVコンテを元に本番を制作していきます。
制作工程③ フルカラーイラストを入れて動かしながらブラッシュアップ
使用する主なイラストが出来たので、動画に組み込んで背景や効果もざくざく入れていった、途中段階の映像です。
私自身も一回動かして見てみないと良し悪しの感覚が掴めないので、このくらいの途中段階を作ってどこのクオリティを詰めていくかを見ていきます。



私は最初から一気に完成させるより、動きを見ながらブラッシュアップしていく方がより良いものができるタイプなので、こうしています。
Vコンテの時は線画であまり気にならなかったのですが、フルカラーにすると「顔のカットが多くて疲れる映像になる」と思い、本番では体にしたりグラフィックデザインのみにしたりと、変更をしています。



顔は目立ちやすく印象に残る一方で、頻繁に使うと飽きやすく疲れるイメージを与えてしまうこともあります。
メリハリをつけて何度も見たい作品を心がけています。
制作工程④ 完成
万華鏡のアニメーションやノイズ等のエフェクトを加えて完成です。
万華鏡をはじめとしたエフェクト加工はAfterEffectsで制作し、口パクアップの部分は、VTuberのリアル感を出したくてLive2Dで制作しました。



原曲とはまた少し違った印象ですが、かわいいクライアントに合わせて新解釈もできるようなアレンジに映ったら良いなと思っております。
MVは細かい工程と確認を重ねて作られています
今回のMV制作では、依頼内容を元に方向性を固め、Vコンテからイラスト・演出を重ねて完成へと進めていきました。
制作過程を知ることで、依頼を検討している方もより具体的なイメージを持っていただけたと思います。
映像は楽曲の世界観を広げる大切な要素なので、細かな部分まで工夫を重ねています。
「自分の楽曲や活動でもこんなMVを作りたい!」と思った方はぜひ気軽にご相談ください。
みなさんの作品がさらに輝くお手伝いができれば嬉しいです!