様々なアニメーション制作にかかる費用とその中身

アニメーションも作るイラストレーターさらえみです。

私が作っているのは2DCGを利用したアニメーションで、音声・BGM以外をほぼトータルで制作できます。元々アニメーターなのでTVや映画アニメの事情も多少は知っています。

最近の動画ブームにより、アニメーションも需要が高くなっています。

ところが大体の人はどんなアニメーションにどれくらいのコストがかかるのかを知りません。パッと見、かわいくて楽しそうな雰囲気から、制作側の大変さが伝わりにくい事もあります(イラストもそうですよね・・・汗)

そこで、ご依頼主さんからも結構アニメ制作にかかる費用について聞かれるので、おおよそになりますが調べてまとめてみました。

TVや映画など作画アニメの制作費

1本30分(本編約20分超)TVアニメ制作費1500万円前後

ジブリなど劇場版アニメは億単位でかかっています。

<参考>
■キッズ向けTVアニメの製作資金例
・製作費1話1,000万円×52話(4クール)=5億2,000万円
・放送枠料2,500万円×12ヵ月=3億円
⇒約8億2,000万円

■深夜枠TVアニメの製作資金例
・製作費1話2,000万円×13話(1クール)=2億6,000万円
・放送費用+宣伝費=4,000万円
⇒約3億円
深夜アニメの製作資金は約3億円…儲ける仕組みや製作委員会の構造とは
今こそ知っておきたいアニメビジネスの特徴を取材 | Social Game

莫大な制作費をスポンサーによる広告費や、製作委員会によるDVDや商品の売上で賄われています。

TVや映画など作画アニメを作るためにかかるもの

TVアニメともなると莫大な事業になり予算も人の手もかなり多く必要になります。
作品によって細かく変わってきますが、作画で製作するアニメであればCMでも同様にかかります。

制作工程・関わる人数

1本のTVアニメに必要な工程と最近のアニメスタッフロールを参考に工程ごとの人数をまとめました。
作品によって変わってきます。

・原作(1~3人)
原作があれば原作者に支払う費用が当然かかります。

・脚本(1人)
アニメ全体のストーリー、セリフ、動作などを決める工程です。

・監督(1人)
全行程を統括する立場。アニメがちぐはぐにならないようチェックしていく必要があります。

・演出(1人)
作品の魅力を引き出すためどういう芝居をさせれば効果的かを指示する立場。

・絵コンテ(2人)
アニメの設計図。監督や演出が作り、これを元に各工程で制作に入ります。

・制作進行(1人)
制作の管理をする人。完成まで各工程を回り放送に間に合うよう調整する仕事です。

・キャラクターデザイン(1人)
キャラクターの設計をする人。マンガなどの原作があってもスタッフが描きやすいようアニメ用に設計し直します。

・作画監督(1~15人程度)
アニメの作画クオリティを統一させる立場の人。TVアニメで3000~5000枚はある作画をチェックします。

・原画(10~40人程度・・・たまに1人とか凄い人いる)
絵コンテを元に画面の設計(レイアウト)をしたり、動きのキーポイントとなる作画(原画)をする人達です。

・動画(20~50人以上・・・スタジオの名前しか載らない事がある)
原画を元に動かすために必要な枚数分の作画をする人達です。

・色指定(2人)
キャラクターなどアニメに使われている色を設計しています。

・仕上げ(5~10人程度?)
作画された線画を取り込み、色指定通りに塗っていく仕事です。

・背景(10人前後)
レイアウトを元に必要な背景を制作している工程です。

・音響(5人程度 声優:5~数十人)
声優さんやBGM、効果音など音に関する素材を用意する工程です。

・撮影・編集(10人前後)
完成した各種素材を組み上げ、加工などを施して1つのアニメに仕上げていきます。

・CG(10人前後)
3DCGなど特殊なCG素材が使われることも今では珍しくありません。専用機材や専門の人材が必要になります。

1つのスタジオで全て完結できる所は珍しく(ジブリくらいかも)ほとんどは作画や声優、下請けなど多くのスタジオが関わっています。

制作の特徴

細かく工程が分かれている技能集団による作品になるので基本はハイクオリティです。
が、アニメ作画部門(他の部門もそうかもですが・・・)は報酬や残業など環境劣悪なため作画崩壊を起こすなどクオリティが落ちる事もあります。

関わる人数が多いため統括する人の手腕によって味は変わっていきます。

スタジオによってアクションが得意、魔法物が良い、筋肉ならココ!という特徴があります。

機材・技術面

機材は、原画や動画などの作画工程はパソコンを使ったデジタル作画に移行している所もありますが、まだ紙と鉛筆による手描きが多いです。工程見てわかるように作画にはとても人数が必要です。

主にパソコンが使われているのは仕上げ以降の工程です。凄く昔は透明なセルロイドのシートに絵の具で塗られていましたが、パソコンの着彩により効率化が進んでいます。

3D等CG工程や撮影、音響などは専用のソフトや機材が必要になります。音響だとスタジオ使用料とかかかりますね。

どの工程を取っても特殊技能の集まりです。

作画だけで言うと1秒に最大12~24枚の絵が必要になり、キャラを動かすにもタイミングを考えながら作画をしています。
通常ひと月やそこらで出来る事ではなく、長い年月で磨かれた技術になります。

雰囲気や情緒など映像の見せ方は、脚本・監督・演出などの力が大きいです。
こちらもすぐになれる職業ではなく数年~数十年は作画など別の工程を経験してやっとなれる狭き門です。

作画アニメは大規模でハイクオリティ

私1人がアニメーター経験があっても、TVのような作画アニメーションを作るには、これだけのリソースが無いと実現できません。

私の場合はデザイナー経験から2DCGもできるので、TVアニメとは味が変わるものの、ショートアニメ1本は作ることが出来ています。

個人~小規模スタジオアニメの制作費

CGアニメやクレイ(粘土)アニメなど、TVアニメと違う形で、主に数分以内のショートアニメを制作する場合です。
動画広告系からCMアニメーションなど種類は様々です。

制作業務形態や秒数によってピンきりですが、工程を兼任する事が多いため、TVアニメ程の人員コストはかからない分、費用は抑えられる傾向です。

ビジネス系のアニメーションでは、安くても30万~で、高くても500万以下が主流のようです。
フル3DCGや作家性の高いもの、クリエイターさんとスタジオの価値によってはショートアニメでも500万では全然足りない事もありえます。

個人~小規模スタジオでアニメを作るためにかかるもの

TVアニメよりも制作手法が多岐にわたります。
少コストで制作できるものと特殊技能によってできるもの、独自の世界観を作り込むために時間も費用もかかるものがあります。

制作工程

会社によって変わりますが、個人事業で制作する場合はこのような流れが主流です。

・ヒアリング
会社同士、事業者同士で要望や制作内容について話し合っていきます。

・絵コンテ
アニメの設計図。依頼主にも確認してもらいます。これを元に制作に入ります。

・Vコンテ
より完成像がイメージしやすいよう、絵コンテを動画データにします。絵のタイミングが確認できてミスが減ります。

・作画・制作
アニメに必要な絵などを制作していきます。

パソコンで作画し腕や足などパーツ分けする手法や、粘土や人形で作る手法など制作会社によって作り方は様々。
私の場合はパソコンでTVアニメのように作画する部分とパーツ分けで動かす部分とを組み合わせることができます。

・撮影
粘土や人形で作る手法だと、1コマ1コマ撮影が必要になります。TVアニメ同様に根気のいる制作です。

・音素材
声優さんやBGM、効果音など音に関する素材を用意します。
専門の人に頼んだり、依頼主に用意してもらったり、クリエイターが自ら作ることもあります。

・編集
全ての素材をひとつの映像に組み合わせて、特殊効果などを付けてアニメーションを完成させます。

関わる人数

個人事業で1人で制作するところから、小規模なスタジオだと10~20人程度だと思います。

私が会社員のCGデザイナーとして働いていた所では、10人くらいのチームで2DCGアニメーションを作っていました。
今の私のように、音素材以外の工程ほぼ全てを1人で出来る集団でしたが、ほとんどの制作会社では工程ごとに担当が違います。

制作の特徴

クリエイターや制作会社によって出来上がる印象は様々です。TVアニメでは出せない表現方法で独特な世界観が表現できます。

表現したい世界観が合致すると凄く印象に残るアニメーションが完成します。

機材・技術面

作る手法が様々なので、使用する機材も様々。

CGアニメーションだと2Dでも作画用と編集用の専門ソフトとそれに耐えうる高スペックのパソコンが必要になります。ショートアニメといえど家庭用パソコンでは厳しい制作環境になると思うので、効率的とはいえそれなりに機材投資はかかります。

独自性が強いので他には真似できない技術が使われています。

CGアニメーションだと分業も可能ですが、ツールに慣れるところから経験を積まないと上手く制作できません。

独特な作風はメインクリエイターにしか出せない場合もあり、希少価値が高いと言えます。

個人~小規模スタジオアニメは個性や作家性が強くなる

特徴でも記載した通りTVアニメでは出せない独特な世界観が表現できます

制作手法によってはコストが抑えられますが、TVアニメのような人海戦術で短期間で制作し長時間見せる映像には向いていません。

CMや解説用、音楽PV、オープニングやエンディング等で活躍しています。YouTubeなどの動画需要にも活用されています。

番外:Live2Dの場合は?


1枚のキャラクター絵が3Dのように動くLive2Dの技術が、VTuberの登場で注目されています。

キャラクターの表情や頭が動けば充分な場合には、大量の作画を必要としないので効率的ですが、動作を付けて撮影するにはいくつかの専門のソフトを使用します。

VTuber以外にも、Live2Dは非常に豊かな表現が可能で、1枚の絵をヌルヌル動かし芸術品のように仕上げるにはさらに技能が必要になります。ソーシャルゲームによく使われています。

アニメ全般そうですが、Live2Dも随分作りやすくはなりましたがまだ作れるクリエイターはそんなに居ない印象です。

本当にアニメーションが必要か?など目的にあわせて選ぶ事が大事

アニメーション制作にかかるアレコレをまとめてみましたが、金額だけでなく見せ方も色々で、なかなか一概には言えません。

決して安く出来るものではないですし、アニメーション以外でも言えることですが、金額以外にどういったユーザーに何を伝えたいのか目的に照らし合わせて選ぶ事をオススメします。

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