CLIP STUDIO PAINTを使ったアニメーションの作り方

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CLIP STUDIO PAINTを仕事で愛用しているイラストレーター、さらえみ(@saraemiii)です。

クリスタはアニメーションを作る機能もついているのですが、プロも使う本格的なものなので複雑でわかりにくいです。

今回はクリスタの便利なアニメーション機能を、実際にアニメを作ってみて紹介していきます。

さらえみ

イラストと違ってアニメーションは類似ソフトが少ないため、パパっと使いにくいんですよね。

CLIP STUDIO PAINTであれば、アニメ専用機能だけ知れば作画はいつもどおりに絵を描けば完成できます。

TVや映画のアニメ制作では使った事が無いので、アニメ会社での制作とは異なる部分もあります。

もくじ

アニメーション新規作成の設定

ファイル→新規
「アニメーション」を選ぶ

CLIP STUDIO PAINTでアニメーション用に新規作成します。

アニメーション新規作成設定画面

アニメーションを指定するとこのような設定画面が出現します。

さらえみ

項目多くてもう難しそう💦

単に作るだけならそこまで細かく設定しなくてもOK。
1つずつ見ていきます。

アニメを作る時の画面サイズは?「基準サイズ」

デフォルトのプリセットはこんな感じ

デフォルトで3種のプリセットがあります。

YouTube等、現在の規格の主流はフルHDの1920×1080です。

好きなサイズにしたい場合は「カスタム」のまま「基準サイズ」項目で設定します。

絶対見せたい要素はここに描く「演出フレーム」

本格的にストーリーアニメを作るワケでは無い場合、無くてもOKです。

演出フレーム設定
演出フレームを付けるとこうなる

「演出フレーム」を設定すると基準サイズより内側にフレームが出来ます。

TVやモニターやスクリーンなど機器によって映るサイズが微妙に変わるために設けるフレームで、必ず見せたい要素を「演出フレーム」内に描くようにします。

TVや映画の作画アニメでもある設定です。

各フレームは、作成後でもメニュー「表示」→「トンボ・基本枠」オン/オフできます。

画面移動や拡縮用に作画範囲を広げる「作画サイズ」

本格的にストーリーアニメを作るワケでは無い場合、無くてもOKです。

作画サイズ設定
作画サイズを設定するとこうなる

「作画サイズ」を設定すると基準サイズより外側にフレームが出来ます。

大きさが基準フレームより小さいとアラート出ます

画面移動や回転などで画面サイズ以上に作画が必要な場合に、作画範囲を広げておきます。

TVや映画の作画アニメでもある設定です。

絵の端を見せなくするために設定する「余白」

本格的にストーリーアニメを作るワケでは無い場合、無くてもOKです。

余白設定
余白を設定するとこうなる

「余白」を設定すると基準サイズより外側にその名の通り余白ができます。

作画の切れ目が画面に入らないようにするため余白を設けて、余白まではみ出るように作画します。

TVや映画の作画アニメでもある設定です。

名称の設定をする「作品情報」

作品情報設定
作品情報はここに反映されます

「作品情報」はファイル名やセルに入る名称に反映されます。

セルに入る名称は、作成後でもメニュー「表示」→「作品情報」オン/オフできます。

「フォルダーによるファイル管理を行う」でこのような保存形態に

フォルダーによるファイル管理を行う」にチェック入れると上図のような構成で保存されるようになります。

たくさんのシーンやカットを必要とするストーリーアニメの場合に管理しやすくなります。

アニメの仕様を決める「タイムライン」

タイムライン設定

「タイムライン」ではアニメに必要なフレームレートや時間などを設定します。

タイムラインのフレームレートとは?

フレームレート設定

フレームレートとは、1秒間を何フレームで構成するかを決める項目です。

アニメーションや映像に必須の設定です。

TVや映画の作画アニメは、基本24fps(1秒24フレーム)です。

個人で作るなら30fpsがわかりやすくてオススメ。

60fpsだとぬるぬる綺麗に動かすこともできますが、その分絵の枚数も多く必要になります。

さらえみ

初心者が簡単に作りたい場合は、カクカクはしますが12fps以下でも良いと思います。

PRO・DEBUTは「アニメーションは24フレームまで」という上限アリ

24フレームなので…

  • 1秒1フレーム(1fps)=24秒間
  • 1秒8フレーム(8fps)=3秒間
  • 1秒24フレーム(24fps)=1秒間

というようなフレームレートになってきます。

1秒間のフレームが多いほどなめらかアニメになりますが再生時間が短くなります。

すでにPROをお持ちの方は優待価格でEXにアップグレードできます!

EXにアップグレードすると上限なくアニメーションを作成できますし、イラスト制作にも使える機能が増えます。

clip-studio.com
CLIP STUDIO PAINTはカスタマイズするほど使用しやすく、参考になるノウハウも多くあります!EXは本格的なアニメやマンガを制作する環境が揃っています。

フレームレートは後から変更も可能

メニュー「アニメーション」から
タイムライン左上メニューから
フレームレート変更画面

フレームレートは作成後でも変更ができます。

さらえみ

作っている最中にフレームレート変えるとややこしくなるので、あまりオススメはしません。

再生時間の表記方法は?

再生時間の表記指定ができる

ゲーム系や個人制作だと「フレーム数」のほうがよく使われるのでオススメです。

TVや映画の作画アニメは「秒+コマ」表記が主流です。

タイムコード細かくした秒数で表記されます。

あまりアニメーション制作に詳しくない人はこちらでも良いと思います。

シーン・カット番号と区切り線

シーン番号・カット番号は、今から作るシーンやカットの番号を付けます。

基本的には絵が出て動いて次の絵に行くまでが1カットとなります。

区切り線は、指定したフレーム毎に線が付きます。

2フレーム毎の区切り線
6フレーム毎の区切り線

1秒毎は数値でわかりやすくなっています。

さらえみ

たとえば、アニメーションさせるため3フレームにつき1枚絵を入れるなら、3フレーム毎に区切りがあると作業が進めやすくなります。

変形のピクセル補間とは?

変形のピクセル補間設定

絵を動かす際に、拡縮や変形によってどう処理するかを選べます。

クリスタ以外の描画・映像ソフトでもよくある設定です。

ソフトな輪郭
(バイリニア法)
輪郭が隣の色と混ざって滑らかになりますが、ぼやける場合があります。
ハードな輪郭
(ニアレストネイバー法)
隣のピクセルに影響されず輪郭がハッキリしますが、ギザギザになる場合があります。
輪郭強調
(バイキュービック法)
輪郭が隣の色と混ざって滑らかになります。
ソフトな輪郭(バイリニア法)に比べて、輪郭が強調されるように処理されます。
輪郭に白いノイズが発生する場合があります。
高精度(色の平均)色の平均を厳密に計算します。
拡大はハッキリ、縮小は滑らかになり、細い線を縮小しても途切れません。
輪郭がぼやけたり、処理に時間がかかったりする場合があります。
さらえみ

PCのスペックが良い場合は高精度がオススメ。

判断が難しい場合は絵のタッチによって、ハッキリ見せたいかぼやけても問題ないかを考えると答えが出やすいです。

テンプレート

アニメーションはデフォルトのテンプレートはありません。

自作して登録しておいたものを呼び出すことができます。

公式で「有名アニメ制作会社のテンプレート」が配布されています

ガチの作画アニメーションを制作したい人には嬉しい素材になるはずです。

CLIP STUDIO TIPS
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「タイムライン」の基本的な使い方

タイムラインは他の映像ソフトにもある時間に沿った編集ができる枠です。

タイムラインのざっくり説明

CLIP STUDIO PAINTのタイムラインはこんな感じです。

タイムライン上部に様々な編集ツールがあります。

時間の見方

青いバー「開始フレーム」「終了フレーム」で、この間が「再生時間」になっています。

赤いバー現在ビューに表示されている時間を示しています。

「タイムライン編集」ツール

タイムライン編集ツール

「タイムライン編集」をオンにすると、キャンバスでタイムラインを操作できるようになります。

クリックで1フレームずつ進みます。

右ドラッグで進み、左ドラッグで戻ります。

新規タイムライン

「新規タイムライン」アイコン
新規タイムライン設定画面

「新規タイムライン」で新たにタイムラインを追加することができます。

タイムライン1から
タイムライン2に切り替え

タイムラインを追加すると、アニメーションフォルダーの上部で切り替えができます。

切り替えるとタイムラインは新規状態ですが、アニメーションフォルダやセルといった使える絵は共通になります。

タイムライン表示のズームイン/アウト

「ズームアウト」1フレームの表示が小さくなる
「ズームイン」で1フレームの表示が大きめに

タイムラインの見た目をズームイン/アウトできます。

サムネイルが見えにくい時や、全体を見たい時などに使います。

CLIP STUDIO PAINT以外の映像系ソフトにもよくある機能です。

作画ができる「アニメーションフォルダー」や「セル」の使い方

イラストを描く時と違ってレイヤーのほかに「アニメーションフォルダー」「セル」というものがあります。

アニメーションフォルダーとセルの関係性

画面下の「タイムライン」パレットと画面右の「レイヤー」パレットには、アニメーションフォルダーが重なるように表示されます。

右端の「レイヤー」パレットと下の「タイムライン」パレットで同じものが表示されています。

1つの「アニメーションフォルダー」の中に「セル」がいくつか入っている状態です。

タイムラインの表示構成

そのほか、タイムラインに表示されているものは、上図のような構成になっています。

アニメを重ねるための「アニメーションフォルダー」

「新規アニメーションフォルダー」アイコン
タイムラインパレット内のアニメーションフォルダー
レイヤーパレット内のアニメーションフォルダー

「アニメーションフォルダー」は「セル」を束ねられるフォルダーです。

アニメーションフォルダーの重なり方

タイムライン上に重なったアニメーションフォルダーは、レイヤーのように透明で絵が重なるようになります。

アニメーションフォルダーを図にするとこんな感じ

上図を例にすると、アニメーションフォルダーAでキャラクターが動き、その上にアニメーションフォルダーBの星が動く…といった使い方ができます。

TVや映画の作画アニメでも、目や口などを「別セル」として目パチや口パクを表現し、アニメーションフォルダーと同じような作り方をしています。

アニメを作るための絵「アニメーションセル」

アニメーションセルは、タイムラインに表示されるアニメーションを作るために何枚も必要な絵のことです。

「新規アニメーションセル」で空のセルが追加される

「新規アニメーションセル」アイコン
タイムラインパレットに追加された新規セル
レイヤーパレットにも追加される

「新規アニメーションセル」アイコンをクリックすると、空のセルが追加されます。

レイヤーパレットで、「アニメーションフォルダー」直下にレイヤーやフォルダーを追加しても、セルとして認識されます。

アニメーションフォルダーとセルの関係性は後述でもくわしく説明しています。

「セル指定」「セル指定の削除」で既存のセルをタイムラインに追加/削除

「セル指定」「セル指定の削除」アイコン
「セル指定」するとセル認識されたレイヤーを選べる
タイムラインの現在位置に「セル指定」で選択したセルが追加されます

「セル指定」を押すと、指定したセルを任意のタイミングで追加できます。

レイヤー名入力」に入力すると、その名前で新規のセルが作られます。

セルの表示時間を調整

調整したいセルの先頭フレームをクリック
赤いバーをドラッグ
ドラッグした分表示時間が調整される

セルの先頭フレームをクリックし現れた赤いバーを動かすことで、表示時間を調整できます。

赤いバーが現れない時は…

「レイヤーのキーフレームを有効化」アイコン

キーフレームを編集する状態になっている場合があります。

レイヤーのキーフレームを有効化」をオフにすると赤いバーが表示されるようになります。

セルのサムネイルの透明部分を表示

透明部分を表示

タイムライン左上のアイコンをクリックし「サムネイルの表示設定」→「透明部分を表示」サムネイルの透明部分がわかりやすく表示されます。

セルをまとめて移動させたり分割ができる「クリップ」

クリップの構成例

タイムライン上で明るいグレーの線でセルを囲っているのが「クリップ」です。

クリップが無いところはセルが無い状態

クリップがあるところはセルが表示され、クリップが無いところはセルが表示されていません。

クリップ内を右クリックでメニューが出ます
クリップを分割した状態
クリップが結合された状態

クリップは右クリックメニューから「分割」や「結合」ができます。

結合されたクリップは、中に含まれる複数のセルをまとめて移動できます。

クリップは上部を持って移動できる

クリップは上部をクリックすると持って移動させられます。

Shift押しながら選択すると、複数のクリップをまとめて移動させることができます。

「アニメーションフォルダー」「セル」「作画用レイヤー」の関係

「レイヤー」パレットの構成
図にするとこのような構成になります

アニメーションフォルダー直下のレイヤーやフォルダーが「セル」として認識されます。

作画する時には、セルとして認識されるアニメーションフォルダー直下はフォルダーにして、そのフォルダー内に通常イラストを描くようにレイヤーやフォルダーを使って描くとスムーズに作れます。

透かして作画するには?

CLIP STUDIO PAINTのアニメーション機能で、透かして作画するには「ライトテーブル」や「オニオンスキン」が使えます。

「ライトテーブル」や「オニオンスキン」のくわしい使い方はこちら

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実際に作画してみた様子

ゆるめですが試しにクリスタでアニメーションを作ってみました。

動きの始まりと終わりの絵を描く

アニメーション始まりの横顔終わりの振り向いた後の顔を作画していきます。

TVや映画アニメでの「原画」という部分です。

塗らずに線画だけで進めていきます。

さらえみ

キャラクターを作画して動かすには上記で紹介した「透かして作画する機能」が重宝しました。

とりあえずラフで間の絵を入れて…

始まりと終わりの絵が線画で出来たら、間の絵を何枚か描いていきます。

まずは最初と最後の間の絵を描いてから、どんどん他の間の絵を描いていくと進めやすいです。

とりあえずラフで進めていきます。

ラフの段階でも確認できるのが最高

枚数と動きの確認にラフで再生します。

さらえみ

サクッとラフで再生できるのがデジタルの良いところ!
アナログではこうはいきませんね。

線画を清書してみた

枚数などの調整をして線画を清書しました。

彩色にも「ライトテーブル」を活用

最後に色を塗っていきます。

さらえみ

彩色は、特別便利な機能が見当たらなかったのでいつもイラストを描くように塗ってみました。

「透かして作画する機能」のライトテーブルを利用して影やハイライトの動きを確認しながら進めます。

プロ仕様の彩色ソフト「OpenToonz」を使う方法もあるようです。

制作現場向けのようですので、個人用にはオススメしません。

CLIP STUDIO TIPS
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線画も影も増やせば増やすほど動かす労力が増えていきます。

慣れないうちは簡単なキャラクターや少ない線や影で作ってみるのをオススメします!

こんな感じになりました

グラデーションや背景もつけてこんな風になりました。

さらえみ

今回背景はクリスタに付属している素材を使いました

作画できない時は…

なぜかキャンバスに作画できない~!

慣れないうちは「なぜかキャンバスに作画できない!」という場面も出てきます。

いくつか対処法があるのでこちらにまとめています。

作画できない時の対処法はこちら

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回転や拡縮などデジタル編集できる「キーフレーム」操作

CLIP STUDIO PAINTのアニメーション機能では、作画以外にズームや回転などのカメラワークやサウンドなども付けられます。

慣れないうちは混乱すると思うので、基本操作に慣れてから取り掛かるのをオススメします。

「キーフレーム」についてくわしい使い方はこちら

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完成したら「アニメーション書き出し」

「ファイル」→「アニメーション書き出し」

完成したらデータ保存した後、各種データに書き出しします。

  • 連番画像
  • アニメーションGIF
  • アニメーションスタンプ(APNG)
  • ムービー(avi・mp4)
  • 【制作会社用】アニメーションセル出力
  • 【制作会社用】OpenToonzシーンファイル
  • 【制作会社用】タイムシート情報
  • オーディオ

画像出力、映像出力、LINEスタンプに便利なAPNG出力に、制作会社仕様の出力まで揃っています。

クリスタを使ったアニメ制作は、作画アニメに重宝する機能が満載

CLIP STUDIO PAINTを使ったアニメーション制作の基本操作を紹介しました。

1枚ずつ画像を並べて映像にするソフトはたくさんありますが、クリスタは作画アニメに特化した機能が満載。

作画に特化したソフトも特に海外製でいくつかありますが、その中でもクリスタはアニメソフトとしてはかなりリーズナブルです。

初見では難しそうに見えますが、慣れるとこれほど作画アニメーションに便利なソフトはありません。

さらえみ

作画でアニメを作りたい人には、プロの現場でも使われているCLIP STUDIO PAINTをオススメします!

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