動画マン原画マンを経験してきた元アニメーターのイラストレーター、さらえみ(@saraemiii)です。
TVで有名なスタジオの特集や厳しい労働環境の報道はされますが、ネットで調べやすい時代になったにしても、その道を目指す人にはまだまだ実際にはどんなものかわからない部分は大きいです。
私が3年間所属していたスタジオは大きくはありませんが、作画監督さん原画マン動画マンまでいるスタジオでした。
約1年で原画マンに上がり『アニメーター』と呼ばれる作画に関わる方々の仕事は見てきました。
もう随分前の話にはなりますので状況によって違う部分はあるかと思いますが、実際にアニメーターになったことがある私が見たこと伝えられそうなことを書いてみます。参考程度に見ていただければ幸いです。
アニメーターになって嬉しかったこと
これらを目的にアニメーターになったわけでは無いのですが、アニメーターやってた時に嬉しかったことを紹介します。
アニメ作品のテロップに名前が載る
アニメが好きでアニメーターなってますし、映像として一生残りますし感無量です。
私も数々の作品で多くのアニメーターの1人として載っています。
有名作画監督さんの直筆が見れる
キャラのイメージや動きが崩れないよう、作画監督さんが修正を入れるので直筆が見れます。
送り返す物なので持って帰ったりは出来ません。しちゃダメです。
憧れのアニメーターさんが作画監督で直筆修正を見る機会もありました。
間接的でも一緒に仕事ができてとても嬉しかったです。今でもその感動は覚えています。
否が応でも画力が上がる
アニメーションは1枚1枚作画したものを連続して再生して動くものなので、当然1日十何枚も描きます。
例えば…1枚に大量の群衆がいるような絵だったり、まわりが全部メカだったり、好きなキャラクターを描く事は稀で、様々な状況の絵を描く事になります。
おかげで、たぶんどの時期よりも絵の成長度合いは高かったと思います。
スタジオ内のチームワークが良好でした
これはスタジオによるかな?と思うのですが、四六時中いっしょに居ますし、納期に間に合わないワケにはいかないので手伝ったり手伝ってもらったりしますし、普段からスタジオ内の人間関係は良かったほうです。
アニメは1人で黙々と作業してそうなイメージにも見えますが、直接お会いできない関係者まで含めると大きなチームワークです。
プライベートから仕事から安いごはんの情報まで(笑)先輩から後輩まで本当にお世話になりました。
アニメーターになるには
アニメーター(動画マン・原画マン・作画監督・キャラクターデザイン等)になるには「特別な学校を出なければならない」「特定の資格が必要」といったことはありません。
画力・技術さえあればなれます。
画力・技術以外に、コミュニケーション力もあるに越したことはありません。高いコミュ力が無くても出来る仕事ではありますが、挨拶も返事もしない程では仕事に支障が出ます。
▼▼アニメーターになるルートで主に考えられる手段は以下の2つ。
専門学校で勉強してからスタジオ所属へ
アニメの専門学校は私の学生時代より明らかに多くなっていますし、一番オーソドックスな方法だと思います。
- 制作スタジオとのパイプが強い
- 古くからの情報が充実
- 最新の技術を取り入れている
- アニメーターに特化
- アニメーター以外の職業も検討できる
- 有名な講師陣
・・・などなど、学校によって特色は様々なので、いろんな学校を比べてみて自分に合う所を見つけましょう。
結局スタジオ所属してから現場の仕事で学ぶことのほうが多いのですが、専門学校に入ると画力や技術を伸ばす他に制作の流れや道具などアニメ制作の基礎知識も身に付けられます。
そしてデッサンの授業や作品を提出するような授業があるところを選んでください。
さすがにその2つの授業が無い学校は無いとは思うのですが、絵を描く仕事を目指す上で必要な「作画力」や「物の形を見る力」「作品を完成させられる力」が養えます。
実際のアニメスタジオでは、誰もかれも本当にとても忙しく時間がありません。
そんな中、最低限の画力すら無い人を丁寧に育てていく暇もありませんし、スタジオに所属してからスタッフが集まってデッサンや練習をやるような時間もほぼありません。
スタジオ入ってからなんとかなると思っていると痛い目に遭います。少なくとも専門学校では、アニメーターとはどういう流れで何をすれば良いのかは教えてもらえます。
なにより専門学校はスタジオとの繋がりもあります。オープンに募集をかけていなくても学校には求人を出してるスタジオもあります。
ほとんどは申し込んで授業料と教材費を支払えば入学できます。試験があったとしても他に比べて非常に簡単なものです。
授業は1日2~3時間や半日程度。
授業ももちろん大事ですが、画力向上や生活費稼ぎ等、日々の残りの時間をどう使うかが将来に大きく響いていきます。
※時代や学校によって違うと思うので、詳細は専門学校の資料などで確認してください※
おすすめのアニメーション専門学校
現場の情報が聞ける所とデッサンの授業がある所が良いですよ!
ちなみに代々木アニメーション学院は私の出身校でもあります
老舗なのでしっかり学べるベテランの講師陣と、スタジオとの繋がりが強い印象でした。
私も何校か体験入学に行ってから決めました。
実際に見て雰囲気を感じてみると学校による違いや自分に合うかどうかがわかります。
他にも、地域密着型の専門学校も多数あります。
同じ目標を志した人が集まる学校は、短い期間でも人脈を築きやすい環境です。
もちろんライバル同士でもありますが、私は当時から今でも仲良くしている友人もいます。
直接スタジオに持ち込み
WEBサイトから直接応募できるスタジオもいくつかあります。専門学校が増える前、昔は直接持ち込みが主流だったとも聞きます。
絵に自信のある人はチャレンジしてもアリなルートです。
実際に専門学校には行かずに高卒でスタジオへ入った先輩もいました。とんでもなく滅茶苦茶上手い人です。
芸術系の大学を出てから応募される方もいます。
どちらにしても専門学校を通らずに直接持ち込みをして合格している人は、独学で高い画力を身に付けた人ばかりです。
アニメの基本のノウハウは絵が上手ければ覚えやすいです。上手い人はそれだけ観察力もアウトプットする力も備わっています。
採用側としては、学校で様々な基礎を付けてもらったほうがこれから仕事をする仲間としても安心ですので、直接持ち込みとなると余程画力が高い等、見る目も厳しくはなると思います。
最近ではスタジオが新人を育成する場を提供しているケースも増えてきています。
確実に行きたいスタジオが運営されているならそこを狙った方が良いです。
アニメスタジオの入社試験は?
専門学校からでも直接持ち込みでも、どのスタジオにも入社試験はあります。
- 書類審査(ポートフォリオ)
- 面接
- 実技試験
この3つは必ずあります。
スタジオによってはアニメ仕事の基礎知識を測る学科試験のようなものもあるかもしれません。
ハイクオリティ作品を生み出すスタジオや、労働条件の良いスタジオは、当然求められる能力も高く試験も厳しくなります。
画力と熱意が見えるポートフォリオ
書類審査や面接時に提出するポートフォリオにはデッサンや作品など詰めたもので、画力や熱意などを見られます。
画力は掲載作品のクオリティで、誤魔化す事ができず浮き彫りになります。
熱意は
・作品数で、飽きずに描ける事
・現場の仕事に近い作品で、仕事へのやる気
・作品の内容で、得意なジャンル
などをアピールすることが出来ます。
世にあるアニメ作品のファンアートを掲載しても良いですが(スタジオによって違うかもしれませんが…)ポートフォリオ作品が全部ファンアートで埋まる事はありえません。
模写や真似だけで出来る仕事では無いですし、好き嫌い関係なく作画をしていく仕事なのでオリジナルもしっかり入れたほうが良いです。
一緒に仕事が出来るかどうか見られる面接
基本的には個人で作画していく仕事ですが
- 同じスタジオで四六時中顔を合わせる
- 他のスタッフとも連携することもある
- 守秘義務や仕事完遂させるプロ意識が必要
なので、どんな人間かスタジオに合うかどうかを面接で見られます。
アニメーターの技術が測られる実技試験
前述した通り現場は忙しく丁寧に教える時間もなく、できるだけ即戦力を求めています。
どれだけアニメーション作画技術を理解し、素早く丁寧に作画出来るかを見るため実技試験もあります。
私の時は随分昔なのでうろ覚えですが、走る作画・物を運ぶ動作などを制限時間内で作成するという試験でした。
実技試験の見本はこちらの本が参考になります!
古い本ですがアニメーターの技術が詰まった1冊で、大手スタジオの実技試験の参考がいくつか掲載されています。
アニメーターになる際の年齢制限はあるのか?
未経験からアニメーターになる人は、大半が若くて高校卒業後の10代、上は20代後半です。
- 若くて画力があると長く活躍できる
- 育てる時間がかかっても、働ける年数が長い
- 過酷な環境に耐えられる体力がある
- アニメーターに向かなかったとしても、他へ転職しやすい
私が専門学校卒業後に入った当時の同期では、一番年上は30歳でした。
20代後半~30代になると作画監督クラスの画力を持っていて、辞める気など一切無いような方ばかりが残っている印象でした。
フリーのアニメーターになるには?
アニメーターの中には、スタジオに所属せずフリーで仕事をされている方もいらっしゃいます。
最初からフリーでやっているという方は見たことがありません。
スタジオで多く経験を積んで技術を磨き、繋がりを増やし、仕事が自分宛に回ってくるようになった人が、フリーを選ぶ事もあります。
新人のうちはスタジオや先輩に回ってきた仕事(厳しく言うと描けるなら誰でも良い仕事)を配分されて進めていきます。
経験と技術が培われ信頼されるようになると、先輩から直接指名されたり、元請けスタジオから指名される場合も出てきます。
フリーで働くには仕事をいただけるスタジオや先輩方との繋がりがあってこそ出来る働き方です。
私もこのように独立する際、アニメーターの先輩から何度かお声がけいただきました(お断りしてしまいましたが/汗)
アニメーターを目指してやってくる新人は多くても、仕事を任せられる程の経験者は貴重な存在のようです。
アニメスタジオについて
多くのスタジオでは、歩合制で個人事業の集まりみたいな状態です。大半では保険・年金・交通費の保障がありません。
有名な大手スタジオでは社員として雇うところもあります。
社員となると交通費や保険等もそれなりに付いていると考えられます。その分、入社も厳しくなります。
関東のほうが圧倒的に多いですが、最近は地方のアニメスタジオも増えてきています。
京都アニメーションやUfotableなど東京以外で有名なスタジオもあります。
特定の作品しか作らないスタジオは、長年同じ作品をやる事になります。長寿アニメ等。
逆に多数単発アニメを担当するスタジオや、下請けスタジオでは、短期で様々な作品を制作していくことになります。
報酬のシステムはスタジオによって様々!大半は歩合制
社員として給料制にしているスタジオもあります
あるにはありますが、給料制にしているスタジオ数は少なく珍しいです。
ボーナスまであるかどうかはわかりません。少なくともあると聞いたことはありません…
各種保証もつけなければいけない社員として迎えるところは、入るハードルが高くなります。
大半は歩合制!全て自分に負担がかかります
歩合制とは、制作したぶんだけ報酬が入るシステムです。
修正だらけで時間がかかれば制作数も少なくなり、貰える金額も少なくなります。しっかり作画し大量に引き受けられればそれだけ金額も増えていきます。
単価は作品や業務内容により違いますが、劇場版や成人向け作品は比較的料金が高くはなります。
歩合制の場合、社員ではなく個人事業主扱い
スタジオでのデスクや電気代、動画用紙などは仕事先からの支給品でいただく事もあります。
が、個人事業主なので、交通費・年金・保険・鉛筆などの備品は自分で支払う必要があります。
確定申告もすることになります。報酬金額が少ないため、先払いしている税金が返ってくるので面倒がらずにやります。
細かい金額は割愛しますが、私は貯金から交通費・年金などを出していました。実家暮らしでスタジオまでは電車で片道1時間程度。それなりに交通費もかかりました。
動画マン時代は学生バイト以下の報酬。原画になってやっとバイトくらいの収入。
一人暮らしなんて一切考えた事ありませんでした。(仕送りを貰って一人暮らしをしている友人も何人かいました)
アニメーターになる前にしたほうがいいこと
厳しい環境に身を置くことになるアニメーターになるために、学生時代のうちから準備としてやっておくと良い事がいくつかあります。
貯金
バイトをするなりして、アニメーターになった後の生活費としてお金を貯めましょう。
学生時代ナメてましたが、社会人は割と生きるだけでお金かかります。
せっかくアニメーターになったのに、稼げるようになる前に早くにリタイアしないようにするためにも、なるべく生活資金は貯めておきましょう。
デッサンなど画力向上のための練習
やっぱり絵それなりに上手くないとスタジオに入れないだろうし、仕事もリテイクの嵐を受けたりしんどい目に遭います。
デッサンをすることで立体感と観察力を養って絵が上達していきます。
でもデッサンってひたすらやるのは飽きる事もありますよね(えっ)
授業でやる分にはまだしも、練習として1人でやるのはつまらなかったり。
私個人的には、デッサンが嫌なら、好きなフィギュアモデルに描いててもいいんじゃない?と思います。
最近のフィギュアは精密だし。好きなものなら楽しく練習できますよね。
写真を見て描くのも、描かないよりは絶対イイです。
できるだけ実際の立体物のほうが見る目や感覚が養われて成長しやすいです。それが面倒で描かなくなるくらいなら↑上のような楽しく描く方法もアリだと思います。
全く描かなくなるのが一番怖いです。
やはり描かない事には画力は向上しません。
授業は真面目に受けておいてほしいですが、普段の日常的な練習は、SNSを使ったり趣味などに絡めて工夫しながら自分が楽しめる方法でなら続けやすいと思います。
アニメーターになるために画力を磨いておくのも大事ですが、アニメーターになった後に早く出世して稼げるようになるためにも画力を上げておく事は重要です。
作品制作など即戦力になれる努力
アニメーターになったのにクリーンナップもタップ割もわからないでは即戦力にはなれません。
専門学校に入ればある程度教えてくれるはずですが、アニメーション制作の流れや基本的な専門技術は覚えておいたほうが良いです。
▼例えばこんな仕事の流れなど
アニメ制作現場の流れや専門用語を知りたいならこの本
改訂版ですが、古くからある本でアニメ制作現場のあらゆる基礎がとてもわかりやすく解説されています。
デジタル技術は覚えたほうが良い?
まだまだ紙と鉛筆で作画するのが大半ですが、デジタルで作画をするスタジオも多いです。
将来的にはデジタル技術が拡大する一方だと予測できるので、紙と鉛筆で作画するスタジオに入るにしてもデジタル技術は多少でも持っていたほうが良いと思います。
昔はRETAS STUDIOというアニメ作画ソフトが有名でしたが、現在はCLIP STUDIO PAINT EXに統合されています。
他にも海外製のアニメーションソフトがいくつか現場で活躍しています。
作画操作はソフトによって個性がありそうですが、タイムラインなどの基本的な操作はどの動画ソフトでも共通するので、理解しているとAdobeのAfter EffectsやPremiere ProやLive2Dなどにも取っ掛かりやすくなります。
アニメーターになった後はなるべく早く稼げるポジションへ
アニメーターになったら、貯金が尽きるまでになるべく早く稼げるポジションを目指しましょう。
例えば…
- 練習をして画力を高める
- 頑張りを見てもらえる先輩と仲良くなっておく
- 確実に早く仕事をこなす(下手なまま早くても無意味なので注意)
- 苦手な人が多いメカやエフェクトの作画を極める
など、方法は色々あります。
まずは新人から抜け出し、コンスタントに仕事が取れるようになるのが最初の目標にはなります。
動画マンは原画へ、原画マンは作画監督クラスへ
はじめは動画マンとして働きます
原画と原画の間の絵を描くほかに、原画のニュアンスを崩さずTVなどに載る綺麗な線を引いていく仕事です。
動画から原画マンに上がります
絵コンテから背景付きの配置絵『レイアウト』を描き起こしたり、動画にするための絵をイチから描いたりといった仕事です。
出来る幅が拡がる分、さらに画力が必要になってきます。
作画監督にまで上がると…
雑誌の絵やキャラクターデザインも任されるようにもなります。
作画監督より上のポジションは華やかに見えますが、全部の原画・動画をチェックして修正に入れる事になるので、スケジュール管理がとても大変そうでした。
アニメーターは人材不足じゃないの?
よくアニメーターは人材不足で海外に頼っているとも言われますし、その一方で志望する人はたくさん居るとも聞きますが、一体どっちなんでしょう?
体感としてはこのような感じです。
- アニメ作品の本数が多くて手が足りない
- アニメ文化の人気はあるので志望者は多い
- 制作現場の中身を知らず憧れと実際のギャップがある
- 過酷な労働環境で新人が1~3年で大半が辞めていく
- 上手い人が条件の良い大手や海外に流れていく
憧れと実際のギャップはインターネットで情報があふれてきて解消されつつあります。
昔は海外のほうが人件費が安く人材不足をカバーするために使われてた印象ですが、最近は日本のクリエイターが海外に好条件で雇われるケースや、それに伴った技術の流出により海外でも高クオリティなアニメを制作できるようになってきたりしています。
続けるのがやっぱり大変!ヘビーな経験談
私は貯金や親からの支援が尽きて3~4年で辞めてしまいました。
その数年だけで様々なハードな経験をしましたので一部を紹介します。このおかげで転職後のブラック業務も割と平気で付き合うことができました(涙)
私がかなり昔に経験したことなので、現在は改善されてスタイルが違うスタジオもあると思います。
やり直し当たり前!入って1年は修行状態
新人のうちは延々やり直しが続いて、金銭的にも時間的にも全然仕事になりません。
1日で1枚トレス作業できたら万歳。そんなスピードでは稼げるわけがありません。
もちろん締切もあります。最悪別の方に仕事を引き上げられる場合も。そうなったらもちろん報酬も貰えません。
どんな仕事でも新入社員だとそんな感じになりますが、ただでさえ少ない報酬に直結するので絶望感も大きいです。
家に帰ったのは2日に1度!スタジオへとんぼ帰りする日も
慣れてきたらガンガン仕事をやっていくことになり、やがて家に帰らなくなります。リテイク続きでも帰りにくくなりますが…
私が入ってたスタジオは四六時中だれかしら稼働していたので、いつでも出入りできました。
次の日の朝に提出する緊急クエストも登場
帰ろうと思ったら仕事がやってきて、数人のスタッフで次の日の朝までに作画するという事も何度かありました。
徹夜は、体も重く判断力も落ちてくるので最悪のコンディションで対応していくことになります。
当面一人暮らしは無理。実家頼りの生活。
最初のうちはバイト以下の報酬でしたので、一人暮らしなんてもってのほか。
基本実家に頼った生活で、遅くに帰ることが多かったです。一人暮らしの友人の家へシャワーだけ貸してもらったりもしていました。
辞めて転職し会社員になってから即一人暮らしをはじめました。
一人暮らしに必要な金額を考えると、動画マン原画マンでは一人暮らしはおそらく無理じゃないでしょうか…
スタジオでの寝泊まりする不健康な生活
アニメーター時代は四六時中口内炎が出来ていました。
そういう体質だと思って気に留めてなかったのですが、数えたら治りかけ含め10個あったことも(汗)
転職後、会社員になった時や、フリーランスイラストレーターとして仕事をしている今、一切口内炎がありません。
やはり健康に悪い仕事環境だったんだ・・・と辞めた後に痛感しています。
オタクしかいない楽園でもありました
アニメーターは確実に全員オタクです。
映像作りなので映画も好きという人もいますが(そしてそういう人のほうが映像作りに向いているので出世しやすいです)まわりはアニメ好きな人間ばかりです。
BGMやカラオケは年代問わないアニメ特撮ソング。勉強のため仲の良い人達とのアニメ鑑賞会はいつでも行われます。
私は元々アニメオタクの居ない環境で育ってきました。
アニメ業界に入ってからは、オタクが非難されるどころかアニメを知り尽くしてなんぼ!の世界で目からウロコ。
とても充実し価値観が改められた時期になりました。
アニメーターの職場環境が改善される兆しは?
ここまで述べたようにアニメーターが働く環境は、昔からあまり変わらず過酷な状態です。
その過酷さがメディアで取り上げられ、現場で働く人が声を上げれるようになったり、改善を支えたい層が出来たり、本当に少しずつですが改善しようとしている流れはあります。
特に最近では、大ヒット作を生むスタジオが技術以外にも姿勢や環境も優れている事、Netflixなど新しい販路が出来つつある事が、改善にも繋がるのではと注目されています。
とはいえ、昔ながらの慣習が根強く少数では状況を変えられないため、すぐに業界全体が変わる事は難しいです。
現状を把握して対策を取って夢を追いかけられるように
アニメーターは高い画力を必要として過酷な環境で戦っていく仕事です。
厳しい世界ですが、実際に長く活躍されている先輩方も少なくはありません。
なので、情報化社会の現在ではアニメーターの事情や目指す自分をしっかり把握して対策を取っていく事ができます。その一部として、私の経験を詰めたこの記事が少しでもお役に立てられたら幸いです。
アニメは世界中で盛り上がっているというのに、いまだに制作の現場環境は改善の余地が多い業界です。
アニメーター時代は過酷でしたが、他では味わえない経験が出来ました。当時の技術が今の自分を支えている部分もたくさんあります。
アニメーター関連のオススメサイト
当記事でこれだけ書きましたが、これは私が経験したほんの一部に過ぎません。
他にもアニメーターに関して役に立つ情報サイトがあるのでご紹介します。
日本動画協会が「アニメーターの作画ドリル」を無償公開中!
2021年3月から日本動画協会がアニメーターに必須な課題集を公開されています。
課題と解答例がついていてとても分かりやすい問題集になっているので、これからアニメーターを目指す人にはとてもオススメです。
なにより業界から無償でここまで公開されているのは今までになかったと思います。
アニメ制作の情報と練習用ツールまで「listeningside」
アニメーターの田中行人様のサイトです。
技術的なアニメ作画の情報がギッシリ詰まっています。無料でこれだけわかりやすく見れるものはここだけでは・・・と思います。
本格的な作画体験キットも販売しているので、実際の仕事を経験してみたい人は要注目です。
アニメーター関連のオススメアニメとマンガ
アニメ業界の雰囲気や、実際にアニメーターになったらどういう事が起こるのかを楽しく把握できるのが、現場を描いたアニメとマンガ。
何も知らずに飛び込む前にシミュレーションがてらに参考になるはずなので紹介します。
SHIROBAKO
アニメの仕事を繋いでいく「制作進行」の主人公が送るアニメ現場を描いたアニメ。私も夢中で見ました。
各現場を回っていく制作進行さんもかなりハードなお仕事。
感情揺さぶられる素晴らしいアニメで大好きなんですが、実際の現場はこの3倍キツイんじゃないかな・・・とも個人的には思いました。
アニメの各種現場を知ってみたい、ゆるく楽しみたい人向けのアニメです。普段アニメを楽しんでる人にもぜひ見て欲しい。
アニメタ!
アニメーターになった女性の苦悩をとってもリアルに描いた漫画。
思い当たるところもある葛藤に胸が締め付けられます。かなり現場に忠実でアニメーターになった後どうなるのか知りたい人も読んでみると良いかもしれません。
アニメがお仕事!
有名なアニメーター石田敦子さんの漫画。こちらも綺麗事だけでない面をしっかり描かれています。
結構前の漫画ではありますが、実際の現場は今もそんなに変わってないんじゃないかなと思います。
アニメーター関連のオススメ作画技術が学べる本
絵の技術書の中でも、アニメーション作画のテクニックに特化した本を紹介します。
私がアニメーターになるずっと前からある名書も含まれています。アニメーターになる前の勉強にはもちろん、なった後も参考書になるものばかりです。
アニメーションの本―動く絵を描く基礎知識と作画の実際
とても古くからある本の改訂版ですが、アニメーション作画の基礎がみっちり学べる本です。
人の動き方だけでなく動物や自然物の動き方まで掲載されています。私もアニメーターだった当時からデジタルで映像作る会社に入った時にもお世話になっています。
アニメーター目指す人、作画アニメーションを作ってみたい人にはとっても参考になるはずです。
アニメーションの基礎知識大百科
アニメ業界の仕事の流れや専門用語が丁寧な図解付きで知ることができる一冊。
私は改定前の本を持っていました。その時点でほぼフルカラーで充実した内容でしたので、さらにパワーアップしているはずです。
アニメ業界について何も知らない人にオススメします。
DVDビデオ付き! アニメ私塾流 最速でなんでも描けるようになるキャラ作画の技術
SNSでも有名なアニメ私塾の本。
アニメ私塾の本はどれも作画向上に役立つものばかりです。中でもこれはアニメ作画のポイントとなる解説が充実しています。
どちらかというと初心者よりも既に多少絵を描ける人のほうが吸収しやすい内容かもしれません。
アニメスタジオテクニック
ルパン三世でお馴染みテレコムアニメーションが届ける技術本。
かなり分厚いです。昔から培われているアニメーションの動かし方が丁寧に掲載されています。
先に紹介したように有名スタジオの実技試験見本も掲載。
一部アニメ現場で使われるRETAS STUDIOを使った制作方法までみっちり記載。現在ではCLIP STUDIO PAINT EXが引き継いでいるので、被る部分もあると思います。