アニメーターになりたい人へ 経験談からの傾向と対策

私の経歴の珍しさからアニメーター時代の話がよく注目されてしまう、さらえみです。

TVでジブリや有名なスタジオの特集や厳しい環境の報道はされますが、ネットで調べやすい時代になったにしても、その道を目指す人には、まだまだ現実どんなものかわからない部分は大きいです。

私が3年間所属していたスタジオは、作画監督さん原画マン動画マンまでいるスタジオでした。
約1年で原画マンに上がり、『アニメーター』と呼ばれる人の仕事は見てきました。

もう随分前の話にはなりますので、状況によって違う部分はあるかと思いますが、私なりに伝えられそうなことを書いてみます。参考程度に見ていただければ幸いです。

目次

アニメーターになって嬉しかったこと

それ目的でアニメーターになったわけでは無いのですが
アニメーターやってた時に嬉しかったことを紹介します。

アニメ作品のテロップに名前が載る。

まずはやっぱりこれですよね。
アニメ好きでアニメーターなってますし、映像として一生残りますし感無量です。

私も数々の作品で多くのアニメーターの1人として載っています。
どんな作品かはお会いした時に聞いて下さい(笑)

テロップ名はFAXで送ることが多かったです。
ペンネームみたいな人がいるのも、そこで指定できてましたw

有名作画監督さんの直筆が見れる。

作画監督さんがキャラのイメージ崩れないよう修正を入れるので直筆が見れます。
送り返すので持って帰ったりは出来ません。しちゃダメです。

憧れのアニメーター様が作画監督で修正を見る機会もありました。
間接的でも一緒に仕事ができてとても嬉しかったです。今でも感動覚えています。

否が応でも画力が上がる

1日十何枚も、1枚に鬼のように群衆がいるような絵だったり
まわり全部メカだったり、様々な状況のカットを描くので
たぶんどの時期よりも絵の成長度合いが高かったと思います。

副作用としてアニメを動画枚数予想しながら見る能力も身につきます・・・

スタジオ内のチームワークが良好でした

これはスタジオによるかな~と思うのですが、四六時中いっしょに居ますし、作画が間に合わないワケにはいかないので手伝ったり手伝ってもらったりしますし、普段から仲良い人達との団結力は凄かったです。

なので、業務に最低限のコミュニケーションは必要です。

アニメは1人で黙々と作業してそうなイメージにも見えますが、直接見えない人員まで含めると大きなチームワークです。

プライベートから仕事から安いごはんの情報まで(笑)本当にお世話になりました。

アニメーターになるには

アニメーターになるルートで考えられるのは以下の2つ。

専門学校で勉強して就職

就・・・職・・・?っていうのかな?

アニメの専門学校は、私の学生時代より明らかに多くなっていますし、一番オーソドックスな方法だと思います。

学校によって様々で結局現場で学ぶことのほうが多いのですが、知らないよりは基礎を知ってもらったほうがいいです。

そしてデッサンの授業や作品を提出するような授業があるところを選んでください。
さすがにその2つが無い学校は無いとは思うのですが(^^;

実際のアニメスタジオでは、誰もかれも本当に忙しく時間がありません。

そんな中、最低限の画力も無い人を丁寧に育てるような暇もありませんし、入ってからデッサンや練習をやるような時間なんてほぼありません。

少なくとも授業でちゃんとした先生にアドバイスしてもらえるようにしたほうがいいです。

あと、なにより学校はスタジオとの繋がりもあります!通常募集をかけていなくても学校には求人を出してるパターンもあると思います。

直接スタジオに持ち込み

WEBサイトから直接募集をかけてるスタジオもいくつかあります。

専門学校が出来る前、昔は直接持ち込みが主流だったとも聞きます。

絵に自信のある人はアリなルートです。

実際、学校行かずに入った先輩もいました。とんでもなく滅茶苦茶上手い人です。

アニメの基本のノウハウは絵が上手ければすぐ覚えられるものです。上手い人はそれだけ観察力もアウトプットする力も備わっていますからね。

採用側は、学校で様々な基礎を付けてもらったほうがこれから仕事をする仲間としても安心ですので、直接持ち込みだと見る目は厳しくなると思います。

アニメスタジオについて

多くのスタジオでは、歩合制で個人事業の集まりみたいな状態です。
保険・年金・交通費の保証がありません。

有名な大手スタジオでは社員として雇うところもあります。社員となると保証もそれなりに付いていると考えられます。

関東のほうが圧倒的に多いですが、最近は地方のアニメスタジオも増えてきています。

特定の作品しか作らないスタジオは、長年同じ作品をやる事になります。長寿アニメとか…

多数単発アニメを担当するスタジオや、下請けスタジオは、短期で様々な作品を制作していくことになります。

下請けスタジオから成長していき大手スタジオへ移動し、誰もが知る有名作品に携わるケースもあります。

ちなみにフリーでやってる方もたくさんいらっしゃいます

スタジオで多く経験を積んで、自宅兼仕事場にしたり、仕事ごとに関東のスタジオを点々と渡ってたり。仕事をいただけるスタジオとの繋がりがあってこそ出来る働き方です。

報酬のシステムはスタジオによって様々!大半は歩合制

社員として給料制にしているスタジオもあります

あるにはありますが、給料制にしているスタジオ数は少なく珍しいです。

ボーナスまであるかどうかはわかりません。少なくともあると聞いたことはありません…

各種保証もつけなければいけない社員として迎えるところは、入るハードルが高くなります。

大半は歩合制!全て自分に負担がかかります

歩合制とは、制作したぶんだけ報酬が入るシステムです。

修正だらけで時間がかかれば制作数も少なくなり、貰える金額も少なくなります。しっかり作画し大量に引き受けられればそれだけ金額も増えていきます。

単価は作品や業務内容により違いますが、劇場版や成人向け作品は比較的多くはなります。

歩合制の場合、社員ではなく個人事業主扱い

スタジオでのデスクや電気代、動画用紙などは仕事先からの支給品でいただく事もあります。

が、個人事業主なので、交通費・年金・保険・鉛筆などの備品は自分で支払う必要があります。

確定申告もすることになります。報酬金額が少ないため、先払いしている税金が返ってくるので面倒がらずにやります。

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細かい金額は割愛しますが、私は貯金から交通費・年金などを出していました。実家暮らしでスタジオまでは電車で片道1時間程度。それなりに交通費もかかりました。

動画マン時代はバイト以下の報酬。原画になってバイトくらいの収入。

一人暮らしなんて一切考えた事ありませんでした。
(仕送り貰って一人暮らししている友人も何人かいましたよ)

なる前にしたほうがいいこと

貯金

バイトをしましょう。

アニメーターのほとんどは先に書いたように保証が無い上に、はじめのうちの収入はバイト以下です(経験談)

学生時代ナメてましたが、社会人割と生きるだけでお金かかります。

はやくにリタイアしないためにもなるべく生活資金は貯めておきましょう。

デッサンなど練習

やっぱり絵それなりに上手くないとスタジオに入れないだろうし、仕事もリテイクの嵐を受けたりしんどい目に遭います。

デッサンをすることで立体感と観察力を養って絵が上達していきます。

でもデッサンってつまんないですよね(えっ)

授業でやる分にはまだしも練習として1人でやるのはつまらない。

私個人的には、デッサンが嫌なら、好きなフィギュアモデルに描いててもいいんじゃない?と思っちゃいます。

最近のフィギュアは精密だし。好きなものなら楽しく練習できますよね。

写真を見て描くのも、描かないよりは絶対イイ。
でも立体のほうが見る目や感覚が養われて成長しやすいみたいですよ。

全く描かなくなるのが一番怖い。
授業は真面目に受けといてほしいですが、普段の日常的な練習は趣味などに絡めて自分が楽しめる方法で続けたらいいと思います。

お金を貯めて早く上手くなって稼げるようになるのが、アニメーターを長く続けるコツです(汗)

なった後はなるべく早く上へ

現場に入ったら貯金が尽きるまでに稼げるジョブを目指しましょう。

めちゃくちゃ絵が上手くなるか
先輩と仲良くなっとくか
早く仕事をこなすか
苦手な人が多いメカやエフェクトの作画を極めるか…
方法は色々あるとは思います。

動画マンは原画へ、原画マンは作画監督クラスへ

はじめは動画マンとして働きます

原画のニュアンスを崩さずTVなどに載る綺麗な線を引いていきます。

ふにゃふにゃだともう一回描き直しです。
スタジオとしてもクオリティ達していないものを出すわけにもいかないので・・・商品としてのラインはクリアしなければいけません。

動画から原画マンに上がります

絵コンテから背景付きの配置絵『レイアウト』を描き起こしたり、動画にするためのキャラ絵をイチから描いたり、出来る幅が拡がる分、画力が必要になってきます

作画監督にまで上がると…

雑誌の絵やキャラクターデザインも任されるようになります。
全部の原画動画の修正に入るので、スケジュール管理がとても大変そうに見えました。

私は下請けスタジオでの原画マンまででしたが、同スタジオ内で作画監督になり有名になった人もいます。

続けるのがやっぱり大変!ヘビーな経験談

私は貯金や親からの支援が尽きて3~4年で辞めてしまいました。

その数年だけで様々なハードな経験をしましたので一部を紹介します。このおかげで転職後のブラック業務も割と平気で付き合うことができました(涙)

やり直し当たり前!入って1年は修行状態

はじめのうちは延々やり直しが続いて全然仕事になりません。

1日で1枚トレス作業できたら万歳。そんなスピードでは稼げるわけがありません。もちろん締切もあります。最悪別の方に仕事を引き上げられる場合も。

どんな仕事でも新入社員だとそんな感じになりますが、報酬に直結するので絶望感も大きいです。

家に帰ったのは2日に1度!スタジオへとんぼ帰りする日も

慣れてきたらガンガン仕事をやっていき、家に帰らなくなります。リテイク続きでも帰りにくくなりますが…

入ってたスタジオは四六時中だれかしら稼働していたので、いつでも出入りできました。

やってもやっても終わらない。提出タイミングにあわせて一旦家に帰り、ご飯と風呂ってから夕方にまたスタジオに戻る日々もありました。

次の日の朝に提出する緊急クエストも登場

帰ろうと思ったら仕事がやってきて、数人のスタッフで次の日の朝までに作画するという事も何度かありました。

徹夜は、体も重く判断力も落ちてくるので最悪のコンディションで対応していくことになりますね…

当面一人暮らしは無理。実家頼りの生活。

最初のうちはバイト以下の報酬でしたので、一人暮らしなんてもってのほか。

基本実家に頼った生活で、遅くに帰ることが多かったです。一人暮らしの友人の家へシャワーだけ貸してもらったりもしていました。

辞めて転職し、会社員になってから即一人暮らしをはじめましたが、一人暮らしに必要な金額を考えると動画マン原画マンではおそらく無理じゃないでしょうか…

スタジオでの寝泊まり生活で口内炎10個出来る日々

家に帰れない事もザラにあり、スタジオで仮眠をとって描く日々。寝床になるスペースは無いので、机の下で寝袋や布団を敷いて寝るような生活です。

アニメーター時代は四六時中口内炎が出来ていました。

そういう体質だと思って気に留めてなかったのですが、数えたら治りかけ含め10個あったことも(汗)

転職後、会社員になった時や、フリーランスイラストレーターとして仕事をしている今、一切口内炎がありません。

やはり健康に悪い仕事環境だったんだと痛感しています。

オタクしかいない楽園でもある

確実に全員オタクです。

映像作りなので映画も好きという人もいますが(そしてそういう人のほうが映像作りに向いているので出世します)アニメ好きな人間ばかりです。

BGMやカラオケは年代問わないアニメ特撮ソング。

勉強のため仲の良い人達とアニメ鑑賞会はいつでも行われます。

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私は元々アニメオタクの居ない環境で育ってきました。
非難されるどころかアニメを知り尽くしてなんぼ!の世界は目からウロコ。とても充実し価値観が改められた時期になりました。

アニメーター関連のオススメサイト

ウチの情報だけで判断するのは早計だと思うので、アニメーターに関する情報サイトを紹介します。

アニメ制作の情報と練習用ツールまで「listeningside」

あわせて読みたい
listeningside top

アニメーターの田中行人様のサイトです。

技術的なアニメ作画の情報がギッシリ詰まっています。本当にわかりやすい。
本格的な作画体験キットも販売しておられます。目指している人は是非見ておくべき。

アニメーターの実情を包み隠さず発信「アニメーターになりたい人へ」

アニメーターになりたい人へ
アニメーターになりたい人へ
アニメーターになりたい人へアニメーターとして10年働いた知識をもとに、アニメーター志望者に知って欲しい情報をまとめています。

アニメーターとして過酷な経験を重ねたbebeさんのサイト。

『アニメーターになる前に読むべきブログ』を目指し熱意ある発信を続けています。
生活を続けるにはどんな状況と戦わねばならないのか。若いうちは見落としがちですが、続けたいなら取り入れるべき情報です。

アニメの作り方を軽く知りたいなら「アニメづくり」

アニメづくり
アニメづくり | アニメを作りたい人にヒントをアニメを作りたい人にヒントを

私が運営していたアニメの作画技術やアニメーター事情をまとめたサイトです。
アニメーターに興味がある人、アニメをちょっと作ってみたい人向けです。

アニメーター関連のオススメアニメと本

私がアニメーターになった当時はそんなにアニメ現場関連の情報はありませんでした。
今では技術書もかなり豊富になっていて、前準備や対策ができる時代になっていると思います。

SHIROBAKO

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制作進行の主人公が送るアニメ現場を描いたアニメ。私も夢中で見ました。

アニメの仕事を繋ぐ「制作進行」もかなりハードなお仕事。感情揺さぶられる素晴らしいアニメですが、実際の現場はこの3倍キツイんじゃないかな・・・と個人的には思いました。

アニメタ!

アニメーターになった女性の苦悩をリアルに描いた漫画。
葛藤に胸が締め付けられます。かなり現場に忠実だと思います。

アニメがお仕事!

有名なアニメーター石田敦子さんの漫画。こちらも綺麗事だけでない面をしっかり描かれています。
結構前の漫画ではありますが、実際の現場は今もそんなに変わってないんじゃないかなと思います。

神風式 アニメーションの作りかた・魅せかた デジタル作画編

ハイクオリティ有名アニメを次々生み出す神風動画がレクチャーするアニメの技術本
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アニメスタジオテクニック

ルパンでお馴染みテレコムアニメーションが届ける技術本。かなり分厚いです。

昔から培われているアニメーションの動かし方が丁寧に掲載されています。

一部アニメ現場で使われるRETAS STUDIOを使った制作方法までみっちり記載。現在ではCLIP STUDIO PAINT EXが引き継いでいるので被る部分もあるかと思います。

さらえみはイラストレーター/デザイナーとして仕事を承っております
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キャラクターイラスト制作 さらえみillustration
版権アニメを取り扱ったデザインさらえみdesign

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