アニメーション動画制作を依頼する時に必要な事と注意点

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クリエイターさんに何か作ってもらうアニメーションの依頼となるとさらに未知の世界で、依頼したくても何が必要なのかわからないのではないかと思います。

アニメーションについても依頼の参考になるようまとめてみました。

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もくじ

お問い合わせの基本、依頼される方のことを知りたいです

キャラクターやイラスト依頼する際に必要な事と注意点でもくわしく書きましたが、インターネットでは顔が見えない分、依頼される方がどんな方なのかをきちんと知りたいです。

どのような方か『氏名』『会社名』『依頼される方の仕事内容』などは教えていただきたいです。

さらに『なんでアニメーションを作りたいのか』『なんで私に頼みたいのか』といった熱意もいただけると、こちらも人間なのでフルパワーで対応しよう!と思います。

プロなので、依頼される方の意図を汲む努力もしますが、インターネットであれ対面であれ初対面同士なのでどうしても抜け落ちる部分が出てきます。お互い良いものを作るためにも、情報共有の協力はお願いしたいです。

アニメーションを頼む場合に伝えて欲しい必要な情報

イラストなどの静止画と違って、アニメを作る上で特殊な情報も必要になってきます。
この情報によっては価格や製作期間も変動する場合もあります。

作りたいものはあるがベストな情報がわからない場合にも、これを参考に聞いてみると進めやすくなります。

アニメーションを利用する場所・使用用途

アニメーションは再生するための機器・媒体が必要になります。

  • TVやモニターで上映
  • パソコンで再生
  • ネット配信
  • スマホ用アプリ

・・・などなど、どんな場所に使うか事前に考えておいてください。

媒体によって適切なデータ形式や必要なサイズが変わってきます。

この認識がズレると制作物もズレたものが出来上がる原因になってしまい、納期を超えた大きい修正にも繋がってしまいます。

サイズ・解像度

アニメーションもデジタルデータでも制作途中や制作後にサイズや形式の変更ができない場合があります。

サイズが変わると絵の配置から考え直さないといけなくなり、ほぼ作り直しに近くなる場合が多いです。そうなると依頼する料金にも影響が出そうですよね。そうならないためにも、必要なサイズは最初のうちに決めていきましょう。

昔はブラウン管のサイズ比率(4:3)もありましたが、今はほとんどの画面サイズはHD比率(16:9)がメインになっています。

YouTubeなどでよく使われるサイズ
・1920×1080px(1080p)
・1028×720px(720p)
・854×480px(480p)

4Kの場合
・3840×2160px

DVDの場合
・720×480px

他にもスマホは機種ごとにサイズが必要だったり、デジタルサイネージは種類が豊富な分サイズも様々です。

SNSにも使いたい場合・・・TwitterだとYouTubeを投稿することもできますが、270×170pxでアニメーションGIFにしたほうがタイムライン上で再生されて見やすい場合もあります。

解像度は、アニメーションは印刷物ではなく画面で見るものなので72dpi固定です。

アニメを含む映像の世界では解像度=画面の大きさとして表すことが多いです。サイズが大きいほど綺麗な映像になります。カメラの世界だと~万画素とも表記されます。

「何の画面に再生したいか」が分かれば、サイズも見当がつくはずです。

納品データの形式

動画形式


このように映像でも様々なデータ形式があります。

納品後に映像を加工する可能性がある・・・圧縮率の低いデータが必要になります。色やノイズなど劣化しにくくなるため加工にも耐えられます。ただし、そのぶん重いデータになるのでオンラインストレージなど負担かからない受け渡しにします(それでもダウンロードに時間かかりますけど~)

YouTubeに流すだけ、アプリとして軽いデータにしたい・・・圧縮率が高いデータでないと軽くなりません。色落ちが出るため、圧縮しててもできるだけ劣化の少ないデータ形式を選びます。

このあたりよく分からずに頼りっぱなしにしていると「なんでこんなに映像が荒いんだ!」となりかねません。
詳しくなる必要はありませんが、再生する媒体や状況によって必要なデータ形式が違うことは知っておいたほうがお互い対応しやすくなります。

再生時間

再生時間の参考

映像の場合は、再生時間も決めなければなりません。

ITがもう当たり前の時代なので、WEBでの動画再生も長時間でも普通に見れるようになりました。

でもテレビとは違って、WEBで見られる動画は見る人のクリックひとつで止められるという残酷さがあります。最初のうちに目を惹くインパクトが無いと最後まで見てもらえません。

イベント展示などでの上映では、人が足を止めて見てもらうための工夫が必要です。最初だけでなく常に楽しそうな雰囲気があると「また最初から見てみよう」と思ってもらえます。

私はキャラクター映像を長く制作してきたので、メリハリをつけた目を惹く演出についても意識して制作するようにしています。

フレームレート(fps)

これも映像・アニメーションならではの必要な情報です。
基本的にはプロにおまかせで大丈夫ですが、仕組みは知っておいて損は無いです。

フレームレートとは、1秒の間に何枚の画像・コマ・フレームがあるかを示したものです。

10fps・・・1秒に10枚の画像がある動画
30fps・・・↑より3倍の枚数があるので滑らかに見える

といった具合に、fpsが高いほど滑らかな映像になります。
高いほど重いデータになるため機器に対応したフレームレートでないと再生できない障害も起こります。

テレビなどの普段の映像は30fpsが主流で、映画だと24fps、高画質なゲームだと60fpsの場合もあります。

アニメーションの場合は24fpsか30fpsになります。
さらにアニメーションでは、映像のフレームレートの中で何枚絵を入れるかによって滑らかさが変わってきます。そのあたりは下記のアニメーションの種類で説明していきます。

アニメーションの大まかな種類

アニメーションと言っても制作方法・表現方法がいくつもあります。
簡単に説明しますのでこちらも発注時の参考になれば幸いです。

TVでよく見る表現!リミテッドアニメーション


普段見ているTVや映画のアニメーションと同じ表現です。

1枚1枚作画してキャラクターや物が実在しているように動くアニメーションです。

1秒に24~30フレームあるとしたら2~3フレーム毎に1枚絵を切り替える手法で、1秒間動きっぱなしのアニメーションだと8~12枚の絵が必要になります。

このリミテッドアニメーションは、毎週新作アニメーションを提供するために効率図って開発され、日本では「鉄腕アトム」が最初に取り入れたと言われています。

TVアニメだと20分近くあるので、単純計算すると1万枚以上になりますが、静止画をスクロールさせた画面を組み合わせているので、3000枚近くが主流です。

3000枚を作画するのに1人では絶対無理ですし、どんなに絵が上手くてもよほどの人数が必要ですよね。さらに描くだけではなく、デザインや色を付ける工程、CGで加工する工程があります。そのぶん数千万くらいの莫大な制作費が必要なのが分かると思います。

ディズニー映画ではフルアニメーション

1秒の24~30フレーム全てに絵を入れたアニメーションが「フルアニメーション」と呼ばれています。

ディズニー映画は昔からこの手法で、とても滑らかに動く豊かな映像になります。上記のリミテッドアニメに慣れ親しんだ日本人には、ぬるぬると違和感に見える場合も。

普段見ているTVアニメでもポイント的に入れると面白い表現になるので使われることもあります。

CGで1枚の絵を動かす表現方法、シームレスアニメーション


1枚の絵をパーツごとに分解し、髪の毛を揺らしたり、服をなびかせたり、喋らせたりする表現です。多く使われてる手法ですが、あまり「シームレスアニメーション」と呼ばれる機会は少ないです。

業界で注目されてるLive2D

一枚絵とは思えない3Dで動かしたように表現できるLive2Dが業界では有名で、大手の様々なアニメ・ゲームに取り入れてられています。

その場で常に動いている表現が特徴的で、繰り返し再生が必要な使用用途で活躍します。

特殊なソフトと制作方法なので、他のアニメ制作同様に技術者が必要になります。

Live2Dでキャラクターアニメーションを制作してみました

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図形や静止画像をCGで鮮やかに動かすモーショングラフィックス

番組のオープニング映像や、音楽PV、LIVEの演出や、映画のCGにも使われる表現です。TVアニメでもオープニングや異世界的なCG表現に使われています。

ハリウッド映画のようなハイレベルから、身近にある街の案内板まで表現方法は幅広く奥の深い世界です。

作画よりもCGの技術やセンスが必要で、イラストとの相性の良い表現も可能です。
TVアニメを作るより少ない人数でも制作可能ですが、高価な設備やソフトを使用しているためピンキリですが数十万~数百万はかかります。

1枚のキャラクターを関節だけで動かすボーンアニメーション

紙で作った人形を動かすように、表裏や関節で手足を動かすような手法です。

シームレスアニメーションのような滑らかさはありませんが、ポップでかわいい印象が強くなります。

作画枚数を増やさず再生時間が長いものにも耐えられるので、説明やストーリーを表現するにはピッタリです。

手作り感と温かみがあふれるパラパラ漫画

ノートの端っこに書いて連続してめくると動くアニメーションです。芸人・鉄拳さんの作品が有名ですね。

1枚1枚背景込みで作画が必要なので、かなり手間がかかります。そのぶん手作り感があって温かみのある映像になります。

かわいい1コマずつ撮影して繋げるコマ撮りアニメ、ストップモーション

1枚1枚少し動かしては撮影した写真画像を繋ぎ合わせて映像にしたものがストップモーションと呼ばれます。

ムーミンのパペットアニメや、粘土で表現したクレイアニメーションも同じ手法です。根気と手間がかかり、アート色の強い映像になります。

紙芝居のようなイラスト動画

スライドだけで表現しイラストに頼った紙芝居動画です。

映像としてはシンプルですが、イラストの印象が強く音楽やナレーションと組み合わせることでいろんな用途で活躍します。

アニメーション制作で作りたいイメージを伝えるには?

イラストのように参考画像を出して説明していくのもアリですが、動くアニメーションとなるとイメージのすり合わせが難しいです。

かといって、全部作って修正してもらうわけにもいきませんので、以下のような確認方法で伝えていくと良いです。

絵コンテやコンテ動画、工程ごとにイメージを確認

アニメーションは、何を作りたいかヒアリングを行った後、絵コンテを制作します。

映像の内容を一番最初に確認できる工程です。制作時間の都合によって、だいたいモノクロでラフに描かれることが多いです。

カラーでの確認や、動きを確認するための絵コンテで作った簡易動画(コンテ動画)や、詳細なイメージを掴むためフルカラーのイメージボードを作ってもらうのも、完成に近い確認ができると思います。

私の場合は、自分で確認するためにもコンテ動画は出すようにしており、イメージボードの変わりに動かす前の原画を確認してもらっています。

既存のアニメーションは参考に出しても良い?

今は個人が制作した映像など様々なアニメーションやイラスト動画があふれているので、「こういうことがしたい」と参考に出すのも良いと思います。

「これと全く同じにしてほしい」といった注文は、アニメーションでも著作権に関わります。せっかく制作するのですから、似た効果を狙うにしてもオリジナリティを大事にしたいですよね。

「君の名は」みたいに、ジブリみたいに作ってほしい!

アニメーションというと、これらが連想しやすいので仕方ないですが、大手スタジオに依頼して下さい。
潤沢な予算と人員がないと出来ません。

「予算内の出来る範囲でこういった印象に近づけたい」という相談でしたら検討の余地はありそうです。

その他、スケジュールや予算など

アニメーションは制作に時間がかかるものが多いので、イラスト以上に制作者によって様々です。
こちらを参考に相談してみて下さい。

納期・締切

アニメーションは、簡単なものでもかなりの工程を要します。

大きいプロジェクトで多数アニメが必要だとクリエイター多数抱えた制作会社では、1~3年はかかります。

ショートアニメーションでも、1ヶ月~半年はかかるものとお考え下さい。

他の仕事を抱えていて、すぐに取り掛かれない可能性もあります。余裕を持って締切日を設定してください。

ご予算

アニメーションとなると、さらに相場がわからないですよね。前述した通り、制作スタジオでTVアニメーションのようなものは、CMの長さであっても数百~数千万は必ずかかります。

CGで簡単なショートアニメーションでも、絵コンテから仕上げまで工程を踏むと1ヶ月以上はかかります。

クリエイターさんの価値によりますが、少なくともアニメーションは数万円でできるようなものではないので、数十万~数百万は考えておいてください。

制作者さんに直接見積りしてもらうのが一番早いと思います。

支払い方法と支払い期日

これもクリエイターさんや制作会社によりますが、どこも基本的には銀行振込かと思います。

支払期日は当月払いや翌月払いが多く、依頼される方の事情によっては翌々月になる場合もまれにあります。

制作側としても、このあたりも誤解を生まないよう、制作前の早いうちに取り決めておきたい項目です。

まとめ

以上、アニメーションを依頼する時に伝えてほしい情報でした。

アニメーションはイラストよりも決めておかないといけない項目が多いですが、特殊な分、希少価値は高いですし、注目される効果も大きいです。

わからない部分は気軽に相談していただき、制作側が提案しているものは「何か専門的な理由がある」ことを前提にお聞きしていただければ、お互い気持ちよく進められ良いものが出来上がります!

細かい専門知識はもっとたくさんありますが、これだけ抑えていれば、依頼する際の参考になると思います。

もくじ