ひょっとしたら会社員を続けていたかもしれない、イラストレーターさらえみです。
仕事は仕事なので、あまり「女性」で括る事は好きでは無いんですが、抗いようのない体質、未だ自分にも世の中にも残る固定概念、ブラック企業の体質から、女性と付けています。
女性じゃなくても当てはまる人はいるかもしれません。
アニメーターをはじめ会社員デザイナー時代含めて、現在フリーランスになるまでにブラックなクリエイティブ企業を転々とした経験からお伝えできることをまとめました。
あ、ブラック企業なのは間違い無いですが、どの仕事も社員同士は仲良かったし制作はやりがいあって楽しかったですよ。じゃないと7年も正社員クリエイター続けられなかったです。
私が会社員デザイナーからフリーランスになった理由
私は特別スゴイ技能があってフリーランスになったワケではありません。
将来と生活環境を考えて独立を選びました。
フリーランスを選んだ理由は以下の通りです。
生活環境が変わったから
結婚してざっくり言うと田舎に住むことになりました。それでも数年は会社員を続けて順応しようとしていました。
男女の固定概念が夫にも自分にも残ってるのか、やはり家事のほとんどは私がやり、夫は手伝う側。その時でも大変でしたが、将来待ち受ける環境変化を考えるとオーバーワークになるのは目に見えていました。
近隣に能力を活かせる仕事がない
田舎に住んだので近隣でクリエイティブな仕事を探しても選択肢がありませんでした。
長距離通勤で時間が勿体無い
都会側に出るまで早くても片道1時間半はかかります。
たまになら全然構わないのですが、(サービス)残業当たり前の会社員とほとんどの家事をやりながらこの通勤時間はかなり心身が疲弊します。
この毎日の3時間あれば、作品づくりが進むし、家事は3つくらい消化できます。
もちろん通勤時間はぎゅうぎゅうの満員電車。田舎なので公共交通手段がそれしかありません。
仕事ができないのは結婚せい・・・とは考えたくなかった
上記の理由ならべると結婚で田舎に住んだせいと捉えられますよね。
このまま無理やり仕事を続けると私の事だから「結婚のせいで・・・」と言いそうだなと思いました。
おそらく長いであろう結婚生活、ずっとそう思い続けて生活していくのは嫌だなぁと。それより「結婚したおかげで好きな仕事ができたよ!」に変えたいと思って、フリーランスで頑張りたいと考えました。
どうせやるなら好きな仕事をしようと思った
会社員として映像デザイナーをしていましたが、制作しているジャンルが好きではありませんでした。
会社員時代は、作ることは好きだったのでしっかりお給料貰えて趣味も生活もできるなら良いという考えで、納得して続けていました。
デザイナーかアニメかイラストか・・・どうせフリーランスになるなら好きな事を仕事にしてしまおうと思ってイラストレーターを名乗りました。
結果、今はイラストもデザインもアニメも全部やっています。すごく有り難いことです・・・
上記の理由の中でも、さらに会社環境も絡んだ以下のような状況があったので今も大変な事があってもフリーランスとして踏ん張れているんだと思っています。
身近にロールモデルになる女性社員がいなかった
『歳取ったらこんなクリエイターになるんだ・・・!』って思える女性のロールモデルが働いていた会社にいませんでした。
仕事は常に火の車。残業、休日出勤は当たり前。みなし残業という名の元に終電まで働く毎日。問題は山積みのまま、仕事量は毎年増える一方。
テンプレのような労働環境・・・!笑
そんな環境で20代仕事を続けていましたが、ぼんやりと『結婚や出産してなおこの仕事って続けられるのかなー?』と考えていました。
そして数年後、デザイン部署で既婚女性の上司は誰一人残りませんでした。
結婚、出産して退職されました。
私は結婚後も会社側のサポートいただきながら続けていましたが、先述したようにキツイ通勤の状況と、「他の社員と一緒に終電まで働きたい vs 帰宅して夕飯や家事をしなくては」が毎日常に頭にあってどっちにも集中できない状態が続いたので、別会社にて給料も仕事時間も減らした契約社員へと転職しました。
会社で制作した実績は当然会社のもの
当たり前ですが、会社員として働いてる間は会社の取引先で会社の実績となります。
その代わり会社が守ってくださってる面も無茶苦茶多いです。
保険負担や退職金(私の勤めていた会社無かったけど)、健康診断に各種お祝い金、いざとなれば弁護士などの相談、福利厚生まで・・・フリーランスになって痛感していますし、夫は会社員。本当に会社にはお世話になっています。
それはそれとして、私の状況下で将来もどうにかクリエイター業に突っ込んでおきたいと思ったら、個人で公開のできる実績はフリーランス続けるにしてもどこかに再就職するにしてもとても大きな武器です。
私は『この仕事を自分がやりました!』と堂々と言える仕事がしたいとアニメーター時代から、ほんのり思っていたのも背中を押していたのかもしれません。
フリーランスとして制作業務以外の細々した仕事や営業、事業主としての考え方が磨けるのも大きな武器になると、続けられている今とても感じています。
人生意外と短くてうかうかしてると時間がなくなる
大人になったらいつかこーなりたいなぁ~と思って過ごしていたら
「あれ、私もう年齢的には大人だよね?」と思う瞬間が多くなりました。汗
こりゃのんびりしてられないなと。
それでも私はどちらかというと後手後手になっちゃうので遅いほうだと思っていますが。
フリーランスになる直前、正社員から契約社員へと転職し、その会社では私が持っている能力や好きな業務とは違った仕事をズルズルと心溶かしながら3年もやっていました。
時間もできて正社員のハードワークから抜けたハズなのに、この時期は一番精神的ダメージがありました。
フリーランスになりたいなと思いながら、じわじわ貯金をして、独立するには何をしたら良いか情報を掴み、少し副業もやってみて、「ああもうこの契約社員仕事は無理だ~」と思った時に、もう精一杯フリーランスにチャレンジしてみようと退職を決意して次への行動をしていきました。
今思うと、合わない仕事に3年も居る必要は全く無く、とっとと貯金して早くにフリーランスやっとけば良かったとも思います。でも自分が気づくためのタイミングもあるのかもしれませんね・・・
死にそうな顔してまで我慢し、生活していても自分どころか周りにも悪影響が及んでしまう
どんなに大変で合わない仕事でも、フリーランスになる!という選択肢はなかなか選べません。
会社に通勤するのが当たり前だと思っていたし、フリーランスというのはスペシャルな一部の人だけがなるものだと思っていました。
今、昔の同期にどんなにフリーランスの話をしても似たような答えが返ってきます。すごくわかる。私も田舎に住まなかったらそこまで考えていない。
今でこそ「個人で働く」流れが来ていますが、私が独立した時はここまでではなかったハズです。
なので、当初は結婚生活を続けながら仕事できる会社を見つけるしかないと考えて、正社員にしがみついたり契約社員として勤めしたりしていましたが、心身共にどこか無理が祟って今では信じられないくらいにイライラが多くなり家事などの私生活に影響が出ていました。
そんな毎日を過ごしてふとした時に「これ家族にも周りにも迷惑かけてるわー」と気づきました。
精神的な病の恐ろしさを知っている
ブラックな会社に居た事もあってか、精神的な病気(鬱病とか)の恐ろしさを目の当たりにしています。
実際私が経験したワケでは無いので偉そうに言えませんが、突然スイッチが切れる、美味しい物食べてもまともな味がしない、死ぬこともある、ちゃんとした病院での治療が年単位でかかる事を、経験した知人や同期から知っていました。
私はこれをものすごくリスクあることと捉えています。
なので、夫が「仕事めちゃめちゃ辛いけど生活費のために続けなくちゃね~」とかぬかした時には、生活費は数年くらいなんとかなるし気晴らしになるから転職情報だけでも見てみたら?と促し、転職させました。
夫が病気になったらと思うとゾッとします。
努力のラインと病気に落ちる境界は気にしたほうが良いです。
ブラック業に勤めて大変な人は、転職情報だけでも見るのは、どんな企業があるのか把握できるし、すごく気分転換にもなるので、「よし転職しよう!」と思ってから見るよりもオススメです。
クリエイティブ業は作品が精神に左右されやすい
なによりイライラを消化できないまま制作したって、イイものが出来ないんですよね。
精神的に参っていたフリーランスになる前後は、好きな絵を描いてもヒドイクオリティでした。
一番過酷なアニメーターでも、精神的には無茶苦茶楽しかったので↑この時ほどクオリティ落ちることはなかったです。むしろ描きまくっていたので磨かれまくってました。
やっぱり精神に左右されまくるものなんだなぁと色々経験して痛感しました。
とはいえ・・・フリーランスも大変なので準備は必須
上記のような様々な理由が絡み合ってフリーランスを選択しました。
とはいえ、フリーランスは事業。
事業って最初から成功しないのが当然なので初期投資や試しまくる時間が設けられているものです。
フリーランスになる前に、他に仕事をする方法は無いか?と、派遣を見に行ったり、セミナーに行ったり、交流会出てみたり、貯金をしながら少しずつ別の世界を見に行ってました。
この時の貯金が無ければ、早々にフリーランス撤退していたと思いますし、情報収集していなければ私に合うWEBでの営業を選ぶことも無かったと思います。
それでも私は無謀に突然フリーランスになった組だと思いますが・・・汗
女性って働きにくいポイント多いからフリーランスはいいぞ!っていう事ではなく、転職とかも視野に入れた上で、独立を選ぶならもっと準備した上でチャレンジすることを個人的にはオススメします。